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[U-17W杯]アルゼンチン撃破!U-17日本代表、18年ぶりの決勝T進出!!

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[6・24 U-17W杯B組 日本3-1アルゼンチン モレリア]

 U-17日本代表、中田、宮本世代以来の決勝トーナメント進出! 17歳以下のナショナルチームによる世界選手権、U-17W杯2011メキシコ大会は24日(日本時間25日)、大会第7日目の4試合を行い、グループリーググループBの日本はU-17アルゼンチン代表と対戦。前半4分に左FW高木大輔(東京Vユース)のゴールで先制した日本は前半20分にCB植田直通(大津高)、後半29分にも右FW秋野央樹(柏U-18)が加点し、3-1で勝った。グループリーグの成績を2勝1分とした日本はグループB首位を確定。MF中田英寿やDF宮本恒靖を擁した1993年日本大会以来となる決勝トーナメント進出を果たした。日本は29日(日本時間30日)に決勝トーナメント1回戦(対戦相手はグループA、C、Dいずれかの3位)を戦う。

 文字通り「全員でつかんだ」決勝トーナメントの切符だった。ここまで1勝1分でグループ2位につける日本は、引き分け以上で自力でのグループリーグ突破の決まるアルゼンチン戦で前節・フランス戦から先発6人をチェンジ。主将のCB岩波拓也(神戸ユース)やフランス戦同点ゴールのMF石毛秀樹(清水ユース)ら主力として活躍してきた選手たちを外し、今大会初出場となるGK牲川歩見(磐田ユース)、DF新井純平(浦和ユース)、高木の3人らを大一番で先発起用した。4-3-3システムのGKは牲川で4バックは右から川口尚紀(新潟ユース)、新井、植田、早川史哉(新潟ユース)。中盤の底の位置に深井一希(札幌U-18)が入り、その右前方が野沢英之(F東京U-18)で左に喜田拓也(横浜FMユース)。3トップは右から秋野、南野拓実(C大阪U-18)、高木が並んだ。

 強烈な先制パンチが試合の流れを傾けた。前半4分、日本は左サイドからボールをつなぐと、野沢が右サイドのスペースへ展開。絶妙なファーストタッチと身体の強さでDFの前に入り込んだSB川口が一気にPAへ侵入する。DFに距離を詰められながらも放った左足シュートをGKがファンブルすると、こぼれ球を高木が左足でゴールへと押し込んだ。

 前回大会初戦でブラジルからゴールを決めている兄・善朗(現東京V)に続く高木の先制弾。日本にとって今大会初となる前半でのゴールがアルゼンチンを慌てさせた。すぐさま反撃に転じたアルゼンチンだが、日本はアンカーの深井が攻守で存在感。また新井、植田のCBコンビも一歩も引かず、アルゼンチンに決定的な仕事をさせない。

 6分に右CKからDFエセキエル・バエスに強烈なヘディングシュートを浴びる場面もあったが、1-0でリードしたまま迎えた20分、日本はセットプレーで相手を突き放す。秋野が上げた右CKを中央で相手DFに押されながらも競り勝った植田が頭で合わせる。これがゴール左上に決まり、日本はリードを広げた。中学時代にテコンドーで日本一に輝いた経歴を持つという“武闘派”植田が、身体能力で相手を上回り決めた一撃。雨の中、これまでの試合に比べてトラップ、パスでややミスの目立つ日本だったが、少ないチャンスを確実にものにして2点のアドバンテージを得た。

 オーソドックスにサイドから攻めるアルゼンチンだが、こちらも中盤でのミスを多発。それでも局面での強さを発揮し、シュートまでは持ち込んでくる。放ったシュートは前半だけで12本。だが、そのほとんどは正確性を欠いたものか、力のないシュートだった。

 日本は後半開始から野沢に代えて初戦決勝ゴールのFW松本昌也(JFAアカデミー福島)を投入。アルゼンチンは後半もサイド攻撃を徹底し、9分には右サイドでの崩しからMFブリアン・フェレイラが決定的な右足シュートを放つ。だがこの試合、放った22本中、17本が枠外シュートだったアルゼンチンは、技術面で日本に劣っていた訳ではなかったが、大事な局面でのミスを繰り返し、勝ち点を失った。

 一方、日本は前への意識が高まった相手の背後を突くカウンターから南野がドリブルシュートへ持ち込むなど、虎視眈々と3点目を狙う。そして後半半ば、勝負の行方を決定付けた。21分に高木をFW鈴木武蔵(桐生一高)へ交代させた直後の23分、ルーズボールに素早くスライディングで対応した秋野に対し、後から反応したアルゼンチンMFマティアス・モンテロが秋野を踏みつけて一発退場。数的優位を得た日本は29分、相手のミスで得た左スローインを南野が間髪いれずに投げ入れると、左サイドを独走した鈴木武が中央の秋野へラストパスを送る。秋野の左足シュートはGKの正面を突いたが、こぼれ球に素早く反応した秋野が自ら詰めて3-0とした。

 日本は41分に深井をFW鈴木隆雅(鹿島ユース)へチェンジ。その直後、一瞬プレッシャーの甘くなった日本はハーフウェーライン付近からフェレイラに超ロングシュートを決められてしまう。だが鈴木隆が獲得したFKから秋野がポスト直撃の左足シュートを放つなど、引かずに最後まで戦い抜いた日本は3-1で勝利。ジャマイカと1-1で引き分けたフランスをかわして首位でグループリーグを終えた。

 94年生まれ以降の選手で結成された通称「94JAPAN」が雨中で強国・アルゼンチンを沈めた。世界一を争う舞台で見せた堂々の勝利。両チームは当時U-16代表だった昨夏の第11回豊田国際ユースサッカー大会で対戦し、アルゼンチンが0-0からのPK戦を制し、優勝していた。両チームともに当時の登録メンバー10人以上が残る中での再戦。内容には大きな差はなかったが、それでも日本は3-1で快勝した。前回大会の宇佐美貴史や宮市亮のような傑出したタレントこそいないが、「共鳴」をコンセプトに連動性の高い全員サッカーで旋風を巻き起こしている日本。この1年間、自分たちがアルゼンチンより成長していることを結果で示し、日本サッカーの歴史も変えた。
 
[写真]前半20分、決勝点となるゴールを決めた植田(右)ら日本イレブンが歓喜のダッシュ

(文 吉田太郎)
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