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[総体]成立、帝京連破!かえつ有明が創部6年目で全国初出場!

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[6.25 高校総体東京都予選準決勝 かえつ有明1-1(PK6-5)帝京 駒沢第2]

 平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)東京都予選は25日、駒沢オリンピック公園第2球技場で、勝者が全国切符を獲得する準決勝の2試合を開催。第1試合では創部6年目で全国大会初出場を狙うかえつ有明と32回目の全国総体出場を目指す名門・帝京が対戦し、1-1でもつれ込んだPK戦を6-5で制したかえつ有明が初の全国大会出場を決めた。

 伝統校の壁を打ち破った。名門と創部6年目の新鋭が激突した「全国大会代表決定戦」。準々決勝でプリンスリーグ関東1部の成立学園を6-2で下していたかえつ有明が、今度は帝京を飲み込んだ。1-1で突入したPK戦は両チームともに5人ずつが成功して迎えた6人目、かえつ有明のMF中村光春がゴール右へ決めたのに対し、帝京MF相馬健太朗のシュートは左へ跳んだかえつ有明GK大石文弥が何とキャッチ。この瞬間、かえつ有明の全国大会初出場が決まった。

 キャッチしたボールを投げ捨てて走り出した大石は、右手を突き上げながら猛ダッシュ。背番号1を先頭にベンチまで達した赤い波は、終始冷静にベンチから試合展開を見守っていた中込正行監督たちを巻き込んで喜びを爆発させた。元アビスパ福岡DFの指揮官は「帝京高校さんは伝統校で力のあるチーム。選手たちがチャレンジャー精神でよくやってくれた。全国まであと2つ、あと1つと精神的にも高まってきて。(きょうは)DF、GKがよく耐えてくれた。選手たちのおかげです」と感慨深げだった。

 終始試合を優位に進めていたのは帝京だった。10番のMF小山北斗の展開力や2年生の弾丸ドリブラー、FW伊藤遼の突破などから相手DFに圧力をかける。押し込まれたかえつ有明は中盤の底に位置するMF大庭周平主将が3バックに吸収されるような形になってしまっていた。

 CB新地寿史兆のオーバーラップやFW大野耀平、FW町田直樹のヘディングシュートなどビッグチャンスをつくり続ける帝京。だがシュート精度を欠き、なかなかリードを奪うことができなかった。それでも後半20分、この日再三長い距離のオーバーラップを繰り返していた左SB長谷川優希主将がPAへの伊藤遼のパスに飛び込みPKを獲得。これを町田が右足で決めて帝京が先制に成功する。

 畳み掛けたい帝京は27分にも長谷川が決定的な左足シュート。一方のかえつ有明は30分、カウンターからMF中村哲平のパスを引き出したFW橋村圭太の右足シュートがGKの手を弾いてゴール左ポストを叩く。ただこのビッグチャンスのあとも先制点を献上したことで気落ちしていたのか、FW藤山世開の個人技や左利きのゲームメーカーMF浜田航がボールに絡む回数を増やして反撃こそするものの、チームはなかなかペースを上げることができなかった。

 ただ、かえつ有明は10番の右足によって蘇る。後半35分、かえつ有明は中村光がゴール正面右寄りの位置でFKを獲得。このチャンスで中村哲が右足を振りぬくと、ボールは7枚の壁を越えてゴール左隅へ吸い込まれた。

 帝京はチャンスをものにすることができなかった。後半終了間際には町田の左足シュートがゴールマウスを叩き、延長後半には右サイドで粘ったMF松岡啓太のパスで抜け出した町田がPAまで持ち込み、決定的な右足シュート。局面局面でボールに対する執念を見せ続け、長谷川が足を攣らせながら100分間を走りぬくなど「帝京魂」を貫いた。

 ただ、闘志を前面に出すことは少ないものの、中込監督が「(闘志を)内に秘めていると。やるべきことをやってくれる」と説明するかえつ有明は名門のプレッシャーに負けなかった。必至のディフェンスで帝京に2点目を与えなかった。試合中はほとんどポジションを固定せず、選手たちの判断で自由に最適なプレーを選択する。昨年は1次トーナメント初戦で敗れるなど結果に結びつかなかった時期もあったが、過去のチームよりも選手層が充実した今年、全国切符をたぐり寄せた。

 東京都代表として臨む全国大会。悲願だった全国へ向けて中込監督は「東京の代表として恥ずかしくないように。普段やっていることを出せるように負けても精一杯やったと後悔しない戦いをしたい」。東京の新鋭が初の全国、秋田の夏に挑む。

(取材・文 吉田太郎)
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