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[総理大臣杯]大阪体育大が3年ぶりの決勝へ!!PK戦での死闘の末に明治大を下す

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[7.7 総理大臣杯・準決勝 明治大1-1(PK3-4)大阪体育大 長居第2]

 大阪体育大が08年大会以来の決勝へ!第35回総理大臣杯全日本大学トーナメントの準決勝が7日に大阪・長居第2陸上競技場で行われた。第1試合では明治大(関東3)と大阪体育大(関西2)が対戦。1-1でもつれこんだPK戦の末、大阪体育大が4-3で勝利した。

 大阪体育大は主力を温存した2回戦の北海道教育大岩見沢校戦(1-0)の先発メンバーからGKを含む6人を入れ替えた。明治大は守備の要であるDF丸山祐市(4年=國學院久我山高)が累積警告で出場停止。これまでSBで先発していたDF松藤正伸(1年=F東京U-18)がCBに回り、左SBではDF奥田大二郎(4年=東京Vユース)が先発した。

 前半19分に試合は動いた。明治大のMF岩渕良太(3年=F東京U-18)のパスを受けたMF矢田旭(2年=名古屋U18)がボールをこぼすと、これをハーフウェーライン付近で大阪体育大MFが素早くかっさらった。MF松澤憲伸(4年=東海大五高)へつなぐと、自らドリブルで持ち込み、PA手前右から右足を一閃。「パスを打とうか迷ったが思い切りいきました」と話す松澤のミドルシュートが突き刺さり、大阪体育大が先制に成功した。明治大がリズムを作り出していた矢先の先制点。一瞬の隙を見逃さず、しっかりと得点につなげてみせた。その後は明治大の攻撃を耐える時間が続いた。
 
 一方、リードを奪われた明治大は立て続けに起きたアクシデントから後手を踏んだ。開始直後からDF小川大貴(2年=磐田ユース)が過呼吸のような症状になってしまう。なんとか耐えてプレーしていたが、要所要所で精細を欠いてミスを連発。先制点を奪われて迎えた前半32分に、小川に代わって、MF宮阪政樹(4年=F東京U-18)を投入した。宮阪とMF楠木啓介(4年=鹿児島実高)がボランチを組み、中盤で先発していたMF豊嶋剛平(4年=柏U-18)が右SBに回った。その後はポゼッションで相手を上回り、チャンスをつくるが決定的な場面までは持ち込めない。前半35分にはFKのチャンスに宮阪が蹴りこみ、ファーサイドのDF吉田啓祐(4年=東京Vユース)が頭から飛び込むが届かなかった。大阪体育大の1点リードで前半を折り返した。

 後半に入り、互いに攻め込むがスコアは動かない。先に交代カードを切ったのは明治大だった。後半20分、MF梅内和磨(2年=F東京U-18)に代えて、FW三橋隼斗(2年=鹿島学園高)を投入。矢田、三橋、FW阪野豊史(3年=浦和ユース)の3トップへ布陣を変更し、ゴールを狙う。そして後半27分、右サイドからドリブルで仕掛けた矢田がクロスを上げると、これに岩渕が頭で合わせて同点弾を決めてみせた。試合は振り出しに戻った。

 ここから勢いに乗り、逆転を目指す明治だったが後半30分、今度はCBの松藤が負傷交代。痛みを押して出場を続けていたが、DF松岡祐介(3年=広島皆実高)と代わった。「戦術的な交代が三橋しかできなかった。あれさえなければ……」と神川明彦監督が悔やんだように、これで3つの交代枠を使いきってしまう。対する大阪体育大はハーフタイムに坂本康博監督から「1点は取られるかもしれないけれど、攻撃的なDFをしよう。守備で攻める」と言われたとおり、果敢に相手ボールを奪いにかかり、自由な攻撃を許さない。同点に追いつかれても、足を止めることなくボールを追い掛け回し、奪っては前線へつないでいった。試合は1-1のまま10分ハーフの延長戦へもつれ込んだ。

 延長前半6分には大阪体育大がチャンスを演出した。FW脇睦(3年=三重高)が左サイドからPA内へドリブル突破。後ろのMF廣岡太貴(4年=清風高)へパスを送ると、廣岡が中央へ折り返した。これをPA内左から松澤がグラウンダーのシュート。わずかにポスト右へ外れた。延長後半10分には、明治大がセットプレーを獲得。矢田の右CKにニアサイドの松岡が頭で合わせたが、枠を外れた。結局、延長戦でも決着はつかずPK戦に突入した。

 先攻は明治大。宮阪の蹴ったボールはGK姫野昂志(3年=大分南高)に止められた。それでも大阪体育大の1人目、松澤のキックはGK高木駿(4年=東京Vユース)が止める。続く2人目はともに決めて、迎えた3人目。明治大の阪野が蹴ったボールは姫野がストップ。その後は互いに全員が決め、4-3で終了。守護神・姫野が2本を止める活躍でチームを勝利に導き、大阪体育大の決勝進出が決まった。

 ファイナリストとなった大阪体育大だが、決勝はDF濱上孝次(3年=清明学院高)とDF松竹貴大(4年=長崎日大高)が出場停止。坂本監督は「これまで唯一リーグ戦から予選から、この大会まで、全部の試合に出てた大事なWストッパーが決勝にいないのは残念」と話した。しかし、「これまでDF、DFと言いつづけて、守備の練習ばかりしてきた。きょうはそれもあって、粘り強くできたかな」と笑顔。08年大会以来の頂点へ王手をかけた。

 一方、敗戦した明治大の神川監督は「逆転するだけのパワーはほしかったが、粘り強く戦えたことは収穫。負けた訳ではなく引き分け。これを自信にして欲しい部分もある。もう(試合は)終わったことなので、次へ向けて、この試合をどう糧にしていくか」と前を向いた。

(取材・文 片岡涼)
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