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新戦力が必死のアピールも…ザック「多少のバリエーションは」

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[8.3 練習試合 日本代表候補3-0札幌大]

 日本代表候補は札幌合宿最終日の3日、札幌大と練習試合を行い、MF山田直輝(浦和)、FWハーフナー・マイク(甲府)、FW李忠成(広島)がゴールを決め、3-0で勝った(試合記録・出場メンバーはコチラ)。

 前半立ち上がりは札幌大の積極的なプレッシャーに攻めあぐね、なかなかシュートを打てない。前半12分、MF永井謙佑(名古屋)の落としから山田がミドルシュートを狙ったのが初シュート。同13分には永井が左サイドで粘ってボールをキープし、その折り返しに走り込んだMF増田誓志(鹿島)がシュートを打ったが、GKの好セーブに阻まれた。

 先制点は前半19分、DF岩政大樹(鹿島)からのロングフィードをオフサイドラインぎりぎりで受けた永井がPA内に進入し、シュート。GKの弾いたボールに山田が詰め、均衡を破った。同23分には追加点。DF森脇良太(広島)と永井の関係で左サイドを崩し、最後は永井のクロスにハーフナーがヘディングで合わせ、2-0と突き放した。

 その後は再びこう着状態となり、前半24分には増田の不用意なボールキープから中盤でボールを失い、決定的なピンチを招いたが、シュートはGK西川周作(広島)の正面。同26分にも中盤のパスミスからピンチを迎えた。

 前半の終盤は、運動量の落ちた札幌大を押し込み、チャンスをつくった。前半37分、MF藤本淳吾(名古屋)が巧みな個人技から突破を仕掛け、右サイドから中に切れ込み、左足でシュート。同40分には藤本からパスを受けた山田の左クロスにファーサイドの永井が右足ボレーで狙ったが、枠を外れた。同43分、再三鋭い縦パスでチャンスをうかがっていたMF柏木陽介(浦和)のスルーパスからオーバーラップしたDF西大伍(鹿島)が右サイドを抜け出す。カットインから左足ミドルを放つが、GKのセーブに阻まれ、2-0で前半を終えた。

 フィールド選手10人全員を入れ替えた後半は、攻撃の連係面でさらに苦労した。後半12分、DF太田宏介(清水)が左サイドで仕掛け、ゴール前にクロス。李が落としたボールをMF田中順也(柏)が左足で狙ったが、シュートはミートせず。同20分、李から田中へのスルーパスもわずかにずれるなど、ラストパスでかみ合わないシーンが続いた。

 後半唯一のゴールが生まれたのは後半28分だった。DF今野泰幸(F東京)からの1本のロングフィードに李が抜け出し、GKもかわしてシュート。背後のスペースに飛び出す動きを繰り返していた李にようやくパスが届き、追加点につながった。

 その後はトップ下のMF東慶悟(大宮)とボランチのMF谷口博之(横浜FM)がポジションチェンジ。谷口が李の近い位置でプレーした。後半30分、太田のアーリークロスから李、MF清武弘嗣(C大阪)とつないで谷口がミドルシュートを放つもゴール左へ。同43分には東の縦パスを李が落とし、再び谷口がPA外から狙ったが、GKの正面に飛んだ。同44分にはDF酒井宏樹(柏)がようやく攻撃参加からチャンスをつくったが、アーリークロスからニアサイドに走り込んだ李のシュートは枠を外れ、そのまま試合は終了した。

 海外組やMF遠藤保仁ら国内組の主力数人も不在で、代表候補初選出の選手が8人(ザックジャパン初招集を含めれば12人)プレーしたこともあり、攻撃での流動性やコンビネーションには課題の残る試合内容だった。アルベルト・ザッケローニ監督は「暑かったのもあるし、選手も同じチームでやるのに慣れていない。距離間をうまく計ろうとやっていたと思うが、スピードある攻撃、コンビネーションはさほど多くなかった」と認めたうえで、「そこは今回は重要ではない。チームの出来より、個人としてどういうものを持っているかを見極めようと思っていた」と指摘。新戦力の見極めと発掘という点では収穫があったことを強調した。

「スタンドで見ていて気になった選手、興味があった選手を手元に呼んで見ることができた。参加してくれた選手のモチベーション、集中して代表のコンセプトを学ぼうとする意識も高かったので、満足している。情報量は増えたし、引き続き今回呼んだ選手については注意して見ていこうと思っている。技術的な面、戦術的な面は想定内というか、持っている力は把握していたし、その力を見せてくれた。一緒に生活することで性格やパーソナリティーを見ることができたのはよかった」

 明日4日には韓国戦(10日、札幌ド)に向けた日本代表メンバーを発表する。海外組を加えたベストメンバーに今回初招集された候補選手が何人生き残るか。指揮官は「今のA代表のメンバーは結果を残してきている。ただ、選手も機械ではないので、調子の良し悪しはある。多少のバリエーションはあると思う」と含みを持たせたが、実際には主力で故障者が出ているポジションなど限定的な入れ替えになりそうだ。

(取材・文 西山紘平)

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