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オーロイの“呪縛”に苦しむ千葉、米倉「ロングボールの癖が付いている」

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[8.21 J2第25節 千葉0-0富山 フクアリ]

 まるでオーロイの“呪縛”に縛られているかのようだった。ジェフユナイテッド千葉は2試合連続の無得点でスコアレスドロー。FWオーロイの負傷離脱後1勝1分1敗という結果以上に、その試合内容に不安が募った。

「トーレ(オーロイ)がいなくなってブレ始めた。久保にロングボールを蹴ってもしょうがない。でも、その癖が付いている」。トップ下のMF米倉恒貴は厳しい表情で言った。

 7月31日の横浜FC戦(1-1)でオーロイが右膝前十字靭帯部分損傷の重傷を負った。ターゲットマンとして前線に君臨してきた204cmの長身FWの離脱。しかし、その後もFW久保裕一を1トップに置く4-2-3-1のシステムを継続し、ロングボールを多用する戦術も変えていない。結果は1勝1分1敗。最下位・岐阜には2-0で勝ったが、前節は札幌に0-4の大敗。そしてこの日は19位富山にホームで痛恨のスコアレスドローに終わった。

 久保も181cmと上背はあるが、タイプは異なる。この日は後半開始から久保に代えてFW青木孝太を投入したが、そのスピードを生かすような場面は皆無。176cmの青木孝が必死にハイボールを競り合う姿はチームの迷走を物語っていた。

 後半途中からは192cmのボランチのMFファン・ゲッセルを高い位置に押し出し、オーロイの代わりにロングボールを競らそうとしたが、その分、ダブルボランチを組むMF佐藤勇人が持ち味である攻撃参加を封じられ、攻撃に厚みが出ない。中盤と前線が分断され、米倉が必死にセカンドボールを拾おうと奔走。ドワイト監督はシステム・戦術に選手を当てはめようとするばかりで、それぞれの選手の良さが完全に消えてしまっている。

 オーロイは今季中の復帰も難しいとみられている。クラブは急きょ新潟からFW大島秀夫を期限付き移籍で獲得。しかし、“ポスト・オーロイ”として期待される184cmの大型ストライカーもコンディションが整わず、ベンチ入りすらできていない。

 後半で唯一と言っていい決定機は後半37分。MF太田圭輔のアーリークロスに米倉が頭で合わせたが、シュートはわずか右へ外れた。「チャンスがあれしかないのは悲しい。崩してチャンスをつくりたい」と米倉は声を落とす。順位も昇格圏外の4位に後退し、5位札幌に勝ち点2差まで詰め寄られた。FW深井正樹は「もうちょっと賢くボールを入れないと。ボランチやヨネ(米倉)をうまく使って攻撃したい」と“脱ロングボール”を熱望していた。

[写真]ドローに終わった千葉

(取材・文 西山紘平)

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