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坂田が移籍初ゴール、「サンキュー・サカタ!」の大歓声も“あの人”からは「サンキューと言われなかった」

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[9.10 J2第27節 F東京6-1京都 味スタ]

 ギリシャのアリス・テッサロニキから今夏にFC東京に加入したFW坂田大輔が、京都戦で移籍初ゴールを決めた。試合の勝敗がほぼ決まった4-1の後半39分から途中出場し、ロスタイムに突入した5-1の後半48分、右サイドを突破したMF石川直宏のグラウンダーパスに右足を合わせた。移籍から4試合目でF東京初ゴールを決め、チームの今季最多6得点を達成させた。

「あのゴールに関してはナオに感謝です。試合中も『ラスト1本、必ずチャンスが来るから』とナオは言い続けてくれた。決めて『ほらね』って言われました(笑)」

 記念のゴールは先輩からのアシストだった。石川は学年が1つ上で、横浜FMユース時代の先輩と後輩同士だった。もちろん、トップでもともにプレーした。シュートの場面は、坂田が「僕なら打ったかもしれない」と振り返ったとおり、石川も打てる位置だった。それでも、後輩思いの先輩からパスが来た。石川は「後輩ですしね、僕は先輩なんで。彼はああいうキャラなんですぐにチームに溶け込めるけど、早く結果が欲しかったと思う。優しい? そう言われましたけど、そういう選択肢を作る動きをしたのは彼」と後輩を讃えた。

 横浜FMから2010年限りで戦力外通告を受け、今年1月にアリスに移籍した。リーグ戦は6試合無得点と悔しい結果に終わったが、ELを経験するなど初の欧州挑戦で得たものはあった。半年経験し、海外でやれる手応えも掴んだ。しかし、チームは財政難で、いわゆる給与は遅配やもしくは未払いが続いた。クラブの財政面は上向くことはなく、坂田自身も生活があるために移籍を決断。2003年のワールドユースで指揮官だった大熊清監督から高く評価され、F東京入りを決めた。

 8月21日の栃木戦からベンチ入りしたが、出番はここまでの3試合で途中出場の1試合のみ。ましてやチームは1分2敗と勝てていなかった。「僕が来てから勝利がなかった。ゴールよりも、まず勝利が欲しかったですね」という。この日は「今日のゲーム展開なら、ほぼ試合は決まっていた」が、自身のためにゴールを狙った。日本復帰当初は「アリスは蹴ってばかりのサッカーで、ちょっと戸惑いはあった。半年なんで、すぐに戻りましたけどね」と多くの欧州帰りの選手がそうだが、坂田も同様に日本の速いスタイルに体が付いて行かなかったという。しかし、今後はこのゴールをきっかけに先発定着を目指す。

 試合後の場内一周では、サポーターから「サンキュー・サカタ!」の大歓声が贈られた。2003年のワールドユースのときなど、大熊監督から試合中に掛けられた声が集音マイクを通してテレビで流れ、サッカーファンの間では話題になったものだ。そんな温かい声援と、ルーカスに背中を押される形でゴール裏のサポーターの前に出向き、FC東京の“儀式”といえる右腕をグルグル回しながら鼓舞しを突き上げる「シャー! シャー!! シャー!!!」も経験した。

 坂田は「新しい選手とか、活躍した選手がやるんだと森重やヤザくんに言われて。雰囲気的にやってもいいかなと思った。ルーカスからも行けって言われて。みんな『行け、行け』と言う割にはどうするのか教えてくれなくて、だいぶ(掛け声と)ズレてた。できるなら、またゴールしたりして、完璧にやりたい」と苦笑いを浮かべた。

 ちなみに、大熊監督からは「きょうは『サンキュー』とは言われなかったです(笑)」と坂田。この日はすでに試合が決まっていた6得点目だからだろう。元日本代表で、今後の活躍が期待されるストライカー。今度はチームを勝たせるゴールを奪って大熊監督からも「サンキュー、坂田!サンキューなっ!!」を言わせる。そして、かっこ良く『シャー!』を決めるつもりだ。

(取材・文 近藤安弘)

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