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「10年に一人の逸材」山村は鹿島で世界レベルへの成長誓う

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 J9チームが正式オファーを出した「10年に一人の逸材」U-22日本代表MF山村和也(流通経済大4年=国見高)の進路は鹿島アントラーズに決まった。

 オファーのあったチームの中から鹿島と川崎フロンターレ、ジュビロ磐田の3チームに進路を絞っていた山村。熾烈な争奪戦は今週に入ってからも続き、昨年の第16回アジア競技大会でともに金メダルを獲得した川崎フロンターレのDF薗田淳とFW登里享平からは最後まで「(川崎Fへ)来るでしょう?」という連絡もあったというが、山村本人は熟考の末に鹿島入りを決断した。

「鹿島では(代表経験者も多く)いろいろ学ぶべきところがあり、一番成長できると思った。岩政さんのようにJリーグの中でずば抜けているヘディングが自分には足りない。あとポジショニングが曖昧なところがまだあると思う。中田浩二さんや岩政さんたちから学んでいきたい」。

 昨年のW杯南アフリカ大会にサポートメンバーとして帯同していた山村は、その当時からJクラブ入りを強く意識するようになった。鹿島OBで現シャルケのDF内田篤人やDF岩政大樹に「鹿島へ」と声をかけられ、当時から地元の鹿島を進路の候補として意識していたという。そして実際に練習参加を経て、練習に取り組む姿勢に影響を受け、またチームのレベルの高さを確認し、自分を最も成長させられるチームとして鹿島入りを選択した。

 09年までJ1で3連覇していた鹿島のポジション争いは強烈。本人もそれは自覚しているが、簡単に出場機会を得られるチームよりも、より厳しい環境を選択した。「ワールドカップや先のことを考えると出場して結果を残していかなければいけない。しっかりクリアしていくことで先が見えてくる。目標をもってしっかりとやりたい」と前を向く。

 CBもボランチもこなす大学ナンバー1プレイヤーはチーム、そして年代別の日本代表でも攻守で絶大な存在感を発揮。中盤でゲームをコントロールするだけでなく、決定的なパス出し、そして対人の強さなど守備能力の高さも群を抜いている。流通経済大の中野雄二監督が「10年に一人の逸材」と評してきた才能は大学生ながらJリーグの主力選手や日本代表の集うU-22日本代表で主将に指名されるなど、期待通りの成長曲線を描いてきた。

 本人は「10年に一人というのは監督からしか聞いたことないんで(笑)。(最初は)誰のこと言っているんだろうと。でもどのチームでも中心になれる存在と期待されているから言ってもらっていると思うし、鹿島でそういう存在になれるように頑張る」。日本代表の将来を担うひとりとして期待高まる山村は、J優勝7回などJリーグで突出した歴史を持つ名門でこれから世界的な選手へと羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)

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