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[プレミアリーグウエスト]サポ「感動」の逆転勝ち!U-18代表カルテット擁する京都U-18が首位・広島ユース撃破!!

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[9・23 高円宮杯プレミアリーグウエスト第13節 京都U-18 3-1広島ユース 東城陽G]

 京都U-18、広島ユースの全国リーグ独走に待った!――。高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグウエストは23日、第13節を行った。京都府城陽市の京都サンガF.C.東城陽グラウンドでは11勝1敗で首位を独走するサンフレッチェ広島ユース(広島)と2位の京都サンガF.C.U-18(京都)が直接対決。前半9分に広島ユースMF川辺駿が先制ゴールを決めたが、ホームの京都U-18は後半にU-18日本代表DF高橋祐治と交代出場のFW森口亮、そしてMF佐藤光恭のゴールにより3-1で逆転勝ちした。

「試合は男の戦いや!」。ハーフタイムに本田将也監督から送られた猛ゲキで「タレント軍団」京都U-18が生まれ変わった。今年の京都U-18はU-18日本代表のエースFW久保裕也こそトップチーム帯同のために抜けたが、それでも高橋、MF原川力、GK杉本大地、そして得点ランキング首位のFW三根和起ときょう23日から始まるU-18日本代表タイ遠征メンバーに4人が名を連ねる実力派集団。ただ、「私が選手に自信を与えてやれなかった。(選手たちが)自分たちのやることを信じられなかった」と指揮官が首を振ったように、チームの戦いぶりは安定せず。優勝候補に挙げられながら思わぬ取りこぼしをしてしまうなど、7勝4分1敗で首位との勝ち点差を8へと広げられていた。

 この日も前半は自信を欠いたようなプレーが続いた。4バックと3ボランチの7人で数的優位をつくってボールをつなぎ、首位に揺さぶりをかけようとするが、広島ユースの守備ブロックの周りでパスをつなぐ場面ばかり。自信を持って仕掛けることができない。くさびに入れたボールや背後へのパスを難なくカットされ、逆にカウンターを食らってしまう。一方。京都U-18と同じくショートパスを多用する広島だが、精度、運動量で相手を上回ると、U-18日本代表MF野津田岳人がDFを2人背負いながら展開し、FW藤井貴之が初速の速いドリブルでディフェンスに穴を開けるなど違いを見せ付ける。前半、京都U-18のシュートが2本に終わったのに対して広島ユースが放ったシュートは11本。9分には左サイドをえぐったFW石坂元気のクロスに1年生MF川辺が飛び込み、あっさりと先制に成功した。

 広島ユースはこの日勝利すれば、次節にも優勝の決まる独走状態。この日の前半もほとんど隙は見当たらなかった。ただMF國領一平が「引き分けでも絶対にダメ、とみんな言っていた。やるしかない、となった」という京都U-18は後半開始から攻勢に転じる。そして相手に圧力をかけ続けて迎えた後半13分、原川の左CKを中央の高橋が右足アウトサイドで合わせて同点。広島ユースの森山佳郎監督は「あそこで勢いに乗せてしまった。勢い乗せて、こちらは(局面で)数が足りなくなってしまった」。

 加速した京都U-18は同点ゴールからわずか4分後の17分、右サイドをMF久永翼が縦へ抜け出すと「勝ち点3しか狙っていなかった。相手を引き付けて強引に仕掛けた」とコーナー付近で相手ディフェンスに囲まれながらも、マークを外して後方の國領へ落とす。これを受けた國領が左足でクロスボールを送ると、ファーサイドの森口がコントロールから右足シュートを叩き込み、勝ち越した。

 広島ユースは必死の追撃を見せるが、高橋と杉本を中心とした京都U-18ディフェンス陣は崩れない。そして原川の巧みなゲームコントロールで展開を落ち着かせていく。一方の広島ユースは前半には見られなったようなミスでボールを失ってしまう場面もあり、決定機をつくり出すことができず。圧力をかけながらも相手を飲み込むことができなかった。そして後半ロスタイム、京都U-18のカウンターに対して広島ユースGKが痛恨のキックミス。これを拾った佐藤がGKを切り返しで外してから、左足で勝負を決定付けるシュートをゴールへ流し込んだ。

 後半広島ユースを上回った京都U-18の気迫。足を攣らせる選手が続出しながらも、45分間を走りぬいた。首位を撃破する逆転勝ちに約200人が集まったサポーターたちからは大歓声。試合後の円陣で本田監督は「きょうのゲームはサポーターに訴えかける何かがあった。(あきらめない姿勢だったり、相手を圧倒する勢いなど)それを表現するのはオマエたちの仕事や」と選手たちに問いかけた。敗れればほぼ優勝の可能性のなくなる大一番で「変わる」「サポーターを感動させる」きっかけをつかんだ京都U-18。主将の高橋は「広島というだけで気持ちが強いというイメージがあった。それを超える気持ちを出さないといけない。きょう、それを出せたからよかった。後半のあの気持ちを続けてあとは全部勝つだけ。ボクらにできるのは勝つことだけ」。広島ユースとの勝ち点差は5。優勝するためには他力に頼らなければならない状況に変わりはないが、この日「変わった」京都U-18は得た自信と高い実力で残り5試合を全勝する。 

[写真]後半17分、京都U-18FW森口が勝ち越しゴール
(取材・文 吉田太郎)

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