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注目MF柴崎、U-22代表合宿で五輪への第一歩

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 注目の19歳が「自分のサッカー人生においても大きな大会」である五輪切符獲得を狙う。ロンドン五輪を目指すU-22日本代表候補は17日午後、東京都内で3日間の短期合宿をスタートした。約2時間行われた初日のトレーニングではフォーメーション練習や約10分間の10対10のゲーム練習2本などを実施。MF山村和也(流通経済大)の骨折により、穴埋めが急務となっているボランチでは鹿島アントラーズの注目MF柴崎岳らがテストされるなど、来月23日のバーレーン戦と同27日のシリア戦へ向けた準備が進められた。

 MF宇佐美貴史(現バイエルン)やFW宮市亮(現アーセナル)とともに09年U-17W杯を戦った“プラチナ世代”の「絶対的司令塔」が五輪代表入りへ殴りこみだ。柴崎は昨春のU-19日本代表候補合宿以来となる代表チームへの選出。ロンドン五輪へ向けてスタートを切っているU-22代表候補入りについて「(選出は)全く考えていなかったです。鹿島でも実績を残していない状況ですし」と驚いていたが、実際チームの中に入った司令塔候補は「注目はありますよね。前のユース年代の代表に比べて露出もありますし、メディアの人数も違うし、いろいろな意味で大きく変わった代表かなと思います」と五輪出場を懸けて戦うチームの印象を口にしていた。
 
 代表候補入りとともに五輪出場への意欲も高まった。鹿島ではナビスコ杯準々決勝の横浜FM戦から公式戦4試合連続で先発出場。同準決勝の名古屋戦では延長後半2分に決勝ゴールを決めた。高卒ルーキーながらJリーグを代表する強豪・鹿島で出場機会を増やしているMFは、自らのプレーでその実力をU-22代表スタッフに認めさせた。「五輪と言うのは大きな大会。ワールドカップと並んで、自分のサッカー人生においても大きな大会になるだろうし、そういった意味ではまだ代表候補ですけれども、そういう場に近い位置にいられるというのはいいこと。ただ、まだ満足はしていないですし、これからだと思っている」。

 高評価を得てきたその技術と判断力で先輩たちからポジションを奪う。関塚隆監督から「しっかりボランチとして守備と攻撃をやってくれたと思う。非常にボールタッチを多くやってくれた」と評価された合宿初日は、中盤とFWの選手のみで行われたパスワークからのシュート練習ではボランチ、その終盤にはトップ下にも入った。キックがやや乱れる場面もあったが、すぐに修正してサイドへ鋭いパスを展開。そして10対10ではシンプルにボールをつなぎながらも局面では鋭いドリブルで攻撃を勢いづけると、左サイドに張ったMF金崎夢生(名古屋)へボールを預けて追い越す動きも見せた。

 10対10の練習終盤にはパスの呼吸が合わなかった金崎とややヒートアップする姿も。ロンドン五輪代表入りを果たすために、誰にも負けられないという思いがある。そのために自分の意見を臆することなく伝えた。金崎は「彼自身も年齢的には下ですけれども、関係なくどんどん意見を言っている。そういう部分はいいと思う」。まずはチームのコンセプトをしっかりと理解してチーム力向上に貢献した上で、今後も自分自身を存分にアピールするつもりだ。

 Jでの経験値はまだ浅いが、U-17W杯で世界と戦った。そして技術と視野の広さは3歳上の選手たちの中に入っても全くそん色ない。海外挑戦している同世代のライバルたちを気にすることなく、「自分のマイペースでやっていきたい」と微笑むが、鹿島でのレギュラー定着に加えて、U-22代表定着を本気で目指すことになった柴崎。「今後のサッカー人生において大きく前進できるかどうかのポイント」とも話すロンドン五輪出場へ、まずは第一歩となった3日間の合宿で妥協するつもりはない。

[写真]初招集の柴崎(左)と金崎は熱く意見をぶつけ合った後に握手も

(取材・文 吉田太郎)

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