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「3-0じゃ足りない」、事実上の降格決定の甲府は笑顔なき快勝

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[11.27 J1第33節 甲府3-0新潟 中銀スタ]

 可能性がゼロになるまで、あきらめるわけにはいかない。事実上のJ2降格が決まった16位ヴァンフォーレ甲府はホームで新潟に3-0で快勝し、4試合ぶりの白星。わずかな望みをつなぎ、数字上は残留の可能性を最終節まで残した。とはいうものの、15位浦和との勝ち点差は3で、得失点差は浦和の-5に対し、甲府は-19。甲府が残留するには、12月3日の最終節で大宮に大勝したうえで浦和が柏に大敗し、「14」差ある得失点差を逆転する必要がある。

 笑顔なき勝利だった。佐久間悟監督は「昨日、浦和が勝利して、我々のJ1残留は非常に厳しくなった。天文学的な得失点差がある」と認める。それでも「今日の試合を勝ち切り、1点でも詰めていこうという話をした。3点で十分かというと、そうではないかもしれないが、選手は今の持っている力を最大限に出してくれた」と、ひたむきに戦った選手をねぎらった。

 立ち上がりから一方的に攻め立てた。前半23分のMF井澤惇、同35分のDF吉田豊のミドルシュートはいずれも浮いてしまったが、同37分、待望の先制点を奪う。MFパウリーニョの右クロスをFWダヴィが落とし、後方から走り込んだFW片桐淳至がキックフェイントから右足でシュート。華麗な個人技でゴールネットを揺らした。

 すぐにボールを取りに行き、早く試合を再開させようとする甲府の選手たち。前半45分には、出場停止のFWハーフナー・マイクに代わって先発したダヴィが右太腿裏を痛めて交代するアクシデントに見舞われたが、後半に入っても甲府ペースが続く。後半21分、右サイドを突破したパウリーニョのマイナスの折り返しをMF山本英臣がPA外から右足でシュート。これをゴール前のMF養父雄仁が左足に当てて角度を変え、2-0と突き放した。

 さらに後半37分、左サイドから中に切れ込んだMF柏好文がパウリーニョとのワンツーから右足で3点目。ホーム最終戦で3発快勝を飾り、意地を見せたが、山本は「1点1点、思いを込めて点を取った。すぐにボールを持って帰ってくる選手の姿を見て、もっともっと点を取りたかったけど、3-0じゃちょっと足りない」と唇をかんだ。

 12月3日の最終節はアウェーでの大宮戦。佐久間監督は「我々に課せられているのは勝つこと、そして大量得点を奪うこと。そのために1週間準備して、しっかり戦いたい。最後の最後まであきらめません」と言った。自分たちで残留の可能性を消すわけにはいかない。1点1点を積み重ね、最後まで戦い抜くだけだ。

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