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柏が初のリーグ制覇! 昇格初年度J1優勝の史上初の偉業を達成!!!

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[12.3 J1第34節 浦和1-3柏 埼玉]

 柏が初のリーグ制覇! J1昇格初年度優勝の史上初の快挙も達成!! J1最終節(第34節)が3日に各地で行われ、埼玉スタジアム2002では15位の浦和レッズと首位の柏レイソルが対戦した。柏は勝てば優勝という状況の中、3-1で悲願の初優勝をつかんだ。前半29分にMFジョルジ・ワグネル、同38分にDF橋本和のゴールで2-0とし、後半8分に1点を返されたが、同31分にはMF茨田陽生が追加点を決めて完勝。V川崎(現東京V)、横浜M(横浜FM)、鹿島、磐田、G大阪、浦和、名古屋に続く8チーム目の王者となった。

 浦和はFWエスクデロ・セルヒオが怪我で不在のため、FW原一樹が先発するとみられたが、実際には“0トップ布陣”だった。4-1-4-1システムを採用しGKは加藤順大、DFラインは右から平川忠亮、坪井慶介、永田充、野田紘史。中盤はアンカーに鈴木啓太、2列目中央にマルシオ・リシャルデスと柏木陽介が入り、右サイドは梅崎司、左サイドは原口元気が務めた。1トップの位置にはU-22日本代表から帰ってきた山田直輝が入った。

 対する柏はDF酒井宏樹がU-22日本代表から復帰し、右SBで先発した。FW北嶋秀朗とMF栗澤僚一はベンチスタートだった。システムは4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、増嶋竜也、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは大谷秀和と茨田陽生が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは田中順也と工藤壮人が組んだ。

 優勝の可能性を残していた2位の名古屋、3位のG大阪と他会場の結果に関係なく、勝てば自力Vとなる柏は、序盤から猛攻を仕掛けた。レアンドロとワグネルの“2枚看板”を中心にゴールに襲いかかる。前半6分、レアンドロがゴール前でワグネルとのワンツーからPA左の工藤にラストパス。工藤のシュートは枠を外れたが、迫力ある攻撃を続けた。

 前半8分、ワグネルの左クロスはGK加藤に弾かれたが、こぼれ球をレアンドロが拾ってシュート。その1分後には大谷がミドルシュートを放った。同18分には田中が強烈なミドルシュート。DFをかすめてPA内左の工藤のもとへ転がったが、工藤はトラップをミスしてシュートまで行けなかった。同20分にはレアンドロがPA内左のワグネルに浮き球パスを送ったが、シュートは左に外れた。

 攻めても攻めてもゴールが割れない柏だったが、前半29分に大きな先制点をもぎ取った。左CKのチャンスで、ワグネルのキックにDF近藤直也がヘディングシュート。これはDFにブロックされたが、こぼれ球をレアンドロが拾ってシュートを放った。これも左ポストを叩いたが、左サイドにこぼれたボールをジョルジ・ワグネルが左足で強烈なシュート。GK加藤の股を抜いてゴールネットに突き刺した。助っ人の11得点目が優勝へ大きく前進する一発となった。

 これで柏がますます勢いに乗り、猛攻を仕掛ける。そして前半38分には貴重な追加点を奪った。右CKのチャンスで、レアンドロがニアサイドにボールを入れると、競り合いでボールが中央へと流れ、これに橋本和が反応。ゴールに背を向けていたが、オーバーヘッド気味のシュートでゴールネット右に沈めた。橋本のJ1初ゴールで2-0とリードを広げた。前半はそのまま柏が2点リードで折り返した。

 後半、浦和は山田直に代えてFW原一樹を送り出した。1トップに“本職FW”が入ったことで、これで前線に“柱”ができ、結果的にゴールが生まれた。後半8分、右サイドから平川忠亮がクロスを入れると、ボールはニアにいた原を越えて中央でフリーだった柏木陽介へ。柏木は丁寧にゴール右にヘディングシュートを突き刺し、1点を返した。

 これで浦和が息を吹き返し、ショートカウンターでチャンスを作る場面が出てきた。後半10分には左サイドを抜け出した原口が得意のドリブルで仕掛けてPA内へ。土壇場で防がれたが、CKを獲得した。とはいえ、柏はリードを保っており、落ち着いて反撃の機会をうかがった。同26分、右サイドを酒井が仕掛けてグラウンダークロス。フリーでレアンドロが右足を振り抜いたが、これは右に外した。

 リズムを奪い返したい柏は後半20分、工藤に代えてMF澤昌克を投入した。FWの位置に入ったが、守備の時は浦和のボランチにプレッシャーをかけた。一方の浦和は同22分、梅崎に代えてFWマゾーラを入れ、そのまま右サイドに据えた。この時間、浦和がリズムを掴んでいたが、柏が大きな追加点を奪った。

 後半30分、澤のシュートがGK加藤に弾かれて右CKを獲得した。レアンドロのキックは相手にクリアされたが、同31分にこぼれ球を茨田陽生が右足ロングシュート。GK加藤の目の前でバウンドしたボールは、手を弾いてゴールイン。茨田が意表をつくシュートでJ1初ゴールを決め、3-1とリードを広げた。

 優勝に向けて大きな一発が決まった中、柏は後半36分、2枚目の交代カードとして田中に代えてFW林陵平を送り出した。浦和もその直後、最後の交代カードを切った。鈴木に代えてU-22日本代表から戻ってきたDF濱田水輝を投入した。その後、ややゆったりとした試合運びとなり、一進一退の攻防が続いた。

 ロスタイムは3分。柏の優勝が目前となった。柏は控えの選手、スタッフも総立ちで戦況を見つめる。柏は後半49分、林がPA内左でシュート。これは惜しくも外れたが、直後に試合終了のホイッスル。柏が初のリーグ制覇を成し遂げた。ピッチで、ベンチ前で、選手やスタッフは抱き合って喜ぶ。ネルシーニョ監督は胴上げされ、4度、宙を舞った。柏が苦難を乗り越えて新しい歴史を作った。

(取材・文 近藤安弘)

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