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[プレミアリーグ参入戦]星稜撃破の鹿島ユースが全国リーグ参入!

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[12.17 高円宮杯サッカーリーグ参入戦2回戦 鹿島ユース2-0星稜高 埼玉第2]

 来季の全国リーグ参入をかけた、高円宮杯U-18サッカーリーグ2011プレミアリーグ参入戦2回戦でプリンスリーグ関東優勝の鹿島アントラーズユース(茨城)が同北信越王者の星稜高(石川)に2-0で勝利。来季の全国リーグ昇格を決めた。

 ワンツーを多用した組み立てとディフェンスラインの背後を狙った縦パス、また右サイドでMF古川裕也が鋭い突破を見せるなど健闘した星稜をシュートわずか1本に抑えて完封勝利。完勝で全国切符をつかんだ鹿島は「カンピオーレ!」の大合唱の後にキッカ監督以下、コーチングスタッフや関係者を次々と胴上げしてスタッフへの感謝を表現していた。先制ゴールのMF斉藤駿介は「このチームでもうサッカーができなくなると思うと悲しい。悔しいけれど(卒業する3年生が)勝って終われて次のステージへ行けるのはよかった」とはにかんだ。

 鹿島はくさびに入った選手がダイレクトではたいて攻撃を加速させるなど、距離を確実に詰めてくる星稜DFを振り回してチャンスをつくろうとする。ただ前半14分にトップチーム昇格内定FW宮内龍汰の放った決定的なヘディングシュートが星稜GK置田竣也のビッグシュートに阻まれ、30分に左サイドを抜け出したトップチーム昇格内定FW鈴木隆雅の強烈な左足シュートも再び置田の好セーブに阻まれてゴールならず。また39分に右FKから同じくトップチーム昇格内定のFW中川義貴の決定的なヘディングシュートもゴール左へと外れてしまう。

 再三ビッグチャンスをつくりながらも、星稜の好守の前に1点が奪えない展開。ただ就任1年目のキッカ監督が「チャンスがあったけれど決め切れなかった。でも大きなことは外していてもゲームコントロールしていたこと。ゲーム自体は最初から最後まで支配していた」と振り返ったように鹿島は悪い流れのなかでも星稜にチャンスを与えない。そして前半ロスタイム、SB飛田啓介の右FKのこぼれ球を鈴木が競り勝つと、最後はゴール至近距離にいた斉藤が「運もあったけれど(落下点を)予測していた。自分の足で決められてよかった」と豪快に右足で叩き込んで先制点を奪った。

 前半のラストチャンスで得点した鹿島はさらに後半4分、GKの頭上を越えるMF橋本龍馬の左FKに宮内が頭から飛び込んで2-0と突き放す。この後、中川が負傷退場するアクシデントがあったものの、攻撃しているときも常に守備意識の高い鹿島はなかなか星稜に攻撃機会を与えない。追撃したい星稜は後半35分にカウンターで右サイドを抜け出したFW辻拓郎のラストパスからMF中野駿が決定機を迎えたが、得点に結びつけることができないまま強敵に屈した。

 鹿島は日本一を掲げたシーズンだったが、全国大会は8強止まりで狙い通りの結果は出せなかった。それでも激戦区のプリンスリーグ関東1部を優勝して3選手がトップチームに昇格。キッカ監督は「スタッフ全て含めて『みんな信じている』『ひとつになっていこう』と強調していた。チームは1回勝つたびに結束していった。絆が強くなっていたと思う」。主将のMF西室隆規は「みんなで『アントラーズのために』とブレずにやってきた。出た人、出なかった人みんなの勝利。最後の最後でブラジルからひとりで来てくれた監督にいいプレゼントができました。後輩のためにもチケットを置いていけるのはよかった」と喜んでいた。

 来年はプリンスリーグ関東からトップリーグへと舞台を移すことになった。指揮官は「一番上のリーグに参入できる。気の抜けない、難しい戦いになる。勝つことが難しい環境の中で、勝者のメンタリティーを身につけていきたい」。トップチームが5シーズン連続で日本一となっている鹿島。ユースはハイレベルな戦いを勝ち続けることでトップと同じ、鹿島の強いメンタリティーを身につける。

(取材・文 吉田太郎)

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