beacon

[大学選手権]「堅守だけじゃない」中京大が3発で2年連続4強へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.23 全日本大学選手権準々決勝 鹿屋体育大1-3中京大 夢の島]

 平成23年度第60回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)準々決勝が23日に行われ、東京都江東区の夢の島競技場で開催された第1試合、鹿屋体育大(九州1)対中京大(東海1)戦は中京大がMF佐藤和弘(3年=磐田ユース)の2ゴールなどによって3-1で勝利。2年連続の準決勝(25日、対専修大)進出を決めた。

 中京大は堅守だけではない。昨年度大会で準優勝し、今大会でも大会屈指の攻撃力を誇る筑波大を完封するなどその守りの堅さについて評価の高い中京大だが、鹿屋体大戦は「守備だけではない」ところを印象付ける試合だった。西ヶ谷隆之監督が「(練習では)日ごろからアタックのところをチャレンジしている。ボールを奪った後のスピード感と人数の関わりを大事にしている」と口にしていたが、強風吹き付ける序盤で明らかにプッシュしていたのは風上の中京大の方。1トップのFW藤牧祥吾(4年=清水ユース)が動き出し、上体の動きで相手の逆を取る頭脳的なプレーを見せると、左サイドの快足MF清水貴文(1年=磐田ユース)とキープ力の高い右MF石川誠也(2年=八千代高)の両ワイドやトップ下の佐藤が絡んで鹿屋体大に圧力をかける。
  
 前半11分には佐藤の右CKから中央で完全にフリーにとなったMF熊澤圭祐(4年=中京大中京高)が「待ってました、という感じだった」と頭で先制ゴール。良い流れの中でリードを奪った中京大はさらに13分にも藤牧のインターセプトから清水の右足シュートがクロスバーを叩く。また中京大は左SB石原卓(3年=中京大中京高、前・徳島ヴォルティス)が対人の強さでサイドでの攻防戦でも主導権を握ると42分、ペナルティーアークやや外で粘った石川とスイッチするようにゴール前へ飛び出した佐藤が、右足シュートをゴールへ流し込んで2-0とする。

 狙い通りの展開へ持ち込んだ中京大。ただ、サガン鳥栖加入内定のFW岡田翔平(4年=F東京U-18)が腰の負傷でベンチスタートだった鹿屋体大だが、左MF小谷健悟(1年=神村学園高)のテクニックと中盤の底の位置から長い距離を走ってサイドへ飛び出すなど積極的な動きを見せるMF福田晃斗(1年=四日市中央工高)が攻撃に変化を加えていた。そして0-2となった直後にゴールを奪い返す。守から攻への切り替え早く左サイドから攻撃した鹿屋体大は、小谷の左クロスは中央で合わなかったものの、これが右サイドでフリーだったMF大瀬拓人(2年=鹿児島中央高)の足元へ。これを大瀬が右足でゴールへと突き刺して、前半を1点差で折り返した。

「(前半風下の)鹿屋は後半来る」と分析した中京大・西ヶ谷監督は後半開始から体調不良から回復してベンチに入った前ジュビロ磐田のDF須崎恭平(2年=磐田ユース)を投入。前・ヴィッセル神戸のCB中田智久(4年=中京大中京高)をボランチへ移動させて守りを固めた。対する鹿屋体大はエース岡田をピッチへ。互いが強力なカードを切って勝負に出た後半、鹿屋体大は10分に左中間から縦に切れ込んだ福田が決定的な左足シュートへ持ち込む。ただこれがゴール右へ外れると、逆に突き放したのは中京大だった。14分、左サイドを縦に突いた石川の折り返しを佐藤が左足でゴールへと沈めて3-1。この後、鹿屋体大は岡田が前線で強さを見せ、SB岩崎司(2年=大津高)らが再三クロスにまで持ち込んだが、中京大の中田と熊澤、須崎、そしてCB新里亮(3年=岡崎城西高)と180cm以上の選手4人で構築された強固な壁の前に跳ね返され、最後まで相手守備陣を打ち破ることができなかった。

 攻撃力と、評価の高い堅守も示してしっかりと試合を締めた中京大。主将の熊澤は「昨年は守備がベースだったけれど、今年は加えて若さ、勢いがある。1年間やってきたことが出せた。インカレに入ってチームの雰囲気も凄くいい。関東が注目されている中で(東海勢の)ボクたちが力を出すのは面白い。昨年、国立に残した忘れ物をしたので、優勝というものを取ってきたい」。準決勝の対戦相手は今大会2戦13発の専修大。中京大は徹底した守備を選択するのか、それとも打って出るのか。この日見せた狙い通りの先制攻撃、そして別の顔を見せた後半の戦いぶりなど多彩な武器を持つ中京大は、4強に3チームが残った関東勢をどのような手法で攻略するか。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
第60回全日本大学選手権

TOP