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横浜FMはJリーグ開幕後初の決勝を逃す。木村監督「最後で力尽きた」

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[12.29 天皇杯準決勝 横浜FM2-4(延長)京都 国立]

 1993年のJリーグ開幕後、初の決勝進出を目指した横浜F・マリノスだが、京都の攻撃サッカーに手を焼き、延長戦で屈した。勝てば優勝した1992年度以来、19大会ぶりの決勝だったが、木村和司監督は「両チームともよく戦ってくれた。気持ちも出してくれた。うちも一つになってやれたと思うが、最後で力尽きた。このまま天皇杯を獲りたかったが、悔しいですね」と肩を落とした。

 京都の前線からのプレス、素早いパス回しに困惑したが、前半42分にFW渡邉千真がMF中村俊輔のスルーパスに抜け出して先制点を決めた。得意のカウンターがはまった。「俊さんからいい形でパスが来て前を向けた。あとは冷静にGKを交わして決めることができた」。このゴールで勢いに乗るかと思われたが、後半開始5分にミドルシュートを決められて同点となり、その後、京都のペースになった。

 運動量豊富な相手に、徐々に中盤のプレスがずれ、ボールをつながれる。そして後半28分にはFWドゥトラにニアサイドに直接FKを決められ、逆転された。それでも後半ロスタイム、終了間際の50分にFW大黒将志がこぼれ球からゴールを決めて2-2に追いつく執念を見せた。延長戦に突入し、流れは横浜FMにあるかと思われたが、京都が盛り返した。指揮官の言葉通り、力尽きた。

 DF栗原勇蔵は「リードされてぎりぎりのところで追いつく粘りは見せられたけど、京都の方が上だったのかなと思う」と悔しがった。DF中澤佑二も「京都は決して弱いチームじゃなかった」と讃えた。そして「(横浜FMは)個で攻めて個で守って……。足りないものが多々ある。無駄にしてはいけない敗戦です」と課題を口にした。J2相手の敗戦だっただけに、本当に悔やまれる一戦となった。

 4回戦ではミスターマリノスの故・松田直樹さんが所属していた松本山雅FCを下し、松田さんに、松本サポーターに日本一を誓ったが、決勝戦を前に敗れてしまった。俊輔は「松本山雅の選手、サポーターに申し訳ない」とこぼした。今季はリーグ戦は5位、天皇杯は4強に終わった。目標だったACLも逃し、悔しいシーズンに終わったが、リーグ戦は昨年の8位から一歩、前進したのは間違いない。名門復活まであと少し。来年こそ、ACL、そして悲願のリーグ制覇へ-。必ずこの日の悔しさを肥やしとする。

(取材・文 近藤安弘)

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