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[選手権]四中工が快速2トップゴールで勝利も、高み目指す指揮官は厳しい注文

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[12.31 全国高校選手権1回戦 羽黒0-3四日市中央工 市原臨海]

 高校サッカー日本一を懸けた第90回全日本高校サッカー選手権大会は大会2日目となり、1回戦16試合が行われた。千葉県の市原臨海競技場で行われた第1試合では2年連続5回目の出場となる羽黒(山形)と4年連続29回目の四日市中央工(三重)が対戦。快速2トップ浅野拓磨(2年)、田村翔太(2年)のゴールなどで四中工が3-0と完勝した。四中工は2回戦(1月2日、市原臨海)で徳島市立と対戦する。

 立ち上がりは前から積極的にプレスをかけてサイドから崩そうとする羽黒が攻勢に出た。キャプテンの左SB本間貴士(3年)のオーバーラップや左SH堀江京介(2年)のドリブル突破から仕掛けてチャンスを作った。「初戦の硬さがあった」と四中工の樋口士郎監督は立ち上がりの選手の硬さを指摘したが、15分過ぎから次第に前がかりになった羽黒守備陣の裏を突き始めた。そして21分、右SB川本将太郎(2年)のスルーパスに浅野が抜け出し、GKとの一対一の状況で冷静にシュートを決めて先制した。

 その後は「極端に前から行くよりノーマルなところでコンパクトにしながら引き込んでボールを奪おうという意図があった」と樋口監督が語った通り、四中工が自陣で守備ブロックを作って羽黒の攻撃を防ぎ、機を見ては浅野、田村翔のスピードを生かした突破からチャンスを作る展開となった。1-0四中工リードで折り返した後半は「チーム全体の姿勢が悪い。良い時はみんな胸を張って生き生きしているのに、見た目が悪くて伝わって来ない」というハーフタイムの樋口監督の檄が効いたのか四中工が攻勢に出始めた。自陣に押し込められる時間が長くなった羽黒はなかなかゴール前までボールを運べず、途中出場の菊池憲永(3年)のセットプレーからチャンスを作ったものの苦しい戦いを強いられた。

 逆に後半25分四中工は左SH田村大樹(2年)のパスを受けた田村翔がシュートを決め、大きな2点目。31分には田村大のCKからキャプテンのボランチ國吉祐介(3年)がヘディングシュートを決めて勝負あり。終盤の羽黒の反撃を抑えた四中工が3-0で勝利した。

 傍目には四中工の快勝に見えた試合だったが、樋口監督から聞かれたのは厳しい反省の弁だった。指揮官は特に得点を取ったものの2トップの動きには不満があったようで、「今日は全然あかんかった。もっと二人は連動性があるはず。スピードがあるのに今日は引いてばかりだった。相手ボールになった瞬間に良い時はしっかりボールを追いかけるのに、そこで構えていた感じがする」と厳しい注文をつけた。「今年のチームはある程度ボールを動かすところ、点を取るところのコンビネーションはどういうレベルであっても行ける。ストロングポイントは攻撃だが、攻撃のための守備と言うか、球際などもう少しディフェンスの意識を持ってほしい。今日のようなボールの奪い方や攻守の切り替えの遅さではやられる。ハードワークしている感じが今日はしていなかった」と、もっと高みを目指すため、2回戦に向けて守備の部分での修正を図る考えを語った。

 前半立ち上がりと終盤はチャンスも作った羽黒は結果的には完敗。本街直樹監督は「立ち上がりは良い入り方ができて、もう少し自分たちの時間帯にシュートまで持ち込めれば良かったが、ボールへの寄せとか球際の強さとかこぼれ球を拾えるかどうかというところのちょっとした差がまだまだ甘かった。相手はサッカーをよく知っていて、流れの中でチャンスと思えば前がかりになり、しのぐ時はしのげる試合巧者だった」と四中工との差を痛感したようだった。

[写真]四日市中央工は3発発進
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 小林健志)

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