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ルーカス「一回引退したのに…」、J1昇格の立役者が3度目の天皇杯V

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[1.1 天皇杯決勝 京都2-4F東京 国立]

 一度は現役から退いた男が、チームをJ1復帰に導くだけでなく、クラブ初となる天皇杯のタイトルももたらした。FC東京のFWルーカスが2得点。2-1と試合をひっくり返したあとの前半42分、後半21分と立て続けにゴールを奪い、粘る京都を突き放した。

「一番は勝って優勝することを考えていた。その中で自分がゴールを決め、勝利に近づくことができて、より一層うれしく思う」

 試合後は、メインスタンドで表彰を受ける前から感極まった。「7か月前に一回引退したのに、また喜びを味わえたことがうれしくて、階段を上がる前に感情が熱くなってしまった」。昨季までG大阪でプレーしたルーカスは今季からブラジルのアトレチコ・パラナエンセに移籍したが、5月に現役を引退。しかし、6月にFW平山相太ら攻撃陣に負傷者が続出した古巣・F東京からオファーを受けると、現役復帰を決断した。

 東日本大震災の影響で帰国する外国人選手もいる中、家族をブラジルに残して単身で再来日。1年でのJ1復帰を至上命題としながら不振にあえいでいた古巣を立て直し、J2の23試合で9得点を挙げ、J1昇格の立役者となると、今度はクラブに初の栄冠とACL出場権をもたらした。

 G大阪時代に連覇した08年度、09年度以来、2大会ぶり3度目の天皇杯優勝となったルーカスは08年にG大阪でACLを制し、クラブW杯3位にも輝いている。アジアでの戦いが未知数のチームにとって、来季もカギとなる存在なのは間違いない。

「この大会に優勝できて、次はゼロックススーパー杯も、ACLもある。自分はG大阪でもJ1のタイトルは取っていない。タイトルを取るチャンスがある以上、一つでも多くのタイトルを取って喜びたい」

 アジアへの挑戦、そして個人としても悲願のJ1制覇を目指す来シーズン。最高の形でスタートを切った2012年も、貪欲にタイトルを目指して戦っていく。

(取材・文 西山紘平)

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