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高校3年生・久保が2戦連発弾も…京都はみたびF東京に屈し準V

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[1.1 天皇杯決勝 京都2-4F東京 国立]

 “ヤングサンガ”の快進撃は、タイトルまであと一歩のところで止まった。史上初のJ2同士の対決となった決勝戦はF東京に軍配。今季のJ2リーグでF東京に2戦2敗の京都サンガF.C.はみたびJ2王者の前に屈した。これで今季のF東京戦は1-4、1-6、2-4。3試合で14失点を喫し、FW久保裕也は「3回やって3回ともまだかなわないと感じた」と唇をかんだ。

 意地は見せた。前半13分にMF中山博貴のゴールで先制しながら、その後4失点。それでも1-4の後半26分、MFチョン・ウヨンの右CKから久保がヘディングシュートをねじ込み、1点を返した。29日の準決勝・横浜FM戦で延長戦に決勝点を決めた18歳が途中出場で2戦連発弾。それでも「個人的にはうれしいけど、チームが勝つことが一番なので、うれしさも半減する。すごい悔しかった」と喜ぶことはできなかった。

 2種登録の高校3年生が見せたパフォーマンスは圧巻だった。J2でも30試合に出場し、チーム最多の10得点。天皇杯でも準決勝、決勝という大舞台でいずれも途中出場ながらゴールという結果を残した。

 対峙したF東京の日本代表DF今野泰幸も「動き出しがすごい。何回でも入ってくるし、ボールを持っていないときもずっと走っている」と、そのポテンシャルを認める。京都の大木武監督は「そのまま伸びていってもらいたい。下手に指導者がいじって、才能をつぶさないようにしないと」と、冗談交じりに日本サッカーの将来を背負うであろうストライカーに期待を寄せた。

 久保だけではない。途中出場の3選手はいずれも10代で、先発したFW宮吉拓実も19歳。来季は京都U-18から久保を含めた6選手がトップチームに昇格する。大胆な世代交代を推し進めるクラブは、今季のリーグ戦終盤に6連勝を飾るなど怒涛の追い上げを見せ、天皇杯でもファイナル進出。優勝した02年度大会以来、9大会ぶりの日本一には届かなかったが、強烈なインパクトを残した。

 J1復帰を目指して戦う来季に向け、久保は「シーズン終盤にかけてはいい形でできていた。自信にもなるし、楽しみというのもある」と力を込め、大木監督も「監督が代わるわけではないので、来季も今やっていることを伸ばしていきたい」と、継続性を重視し、さらなる成長を目指していくつもりだ。

「優勝のイメージしかなかったし、悔しい気持ちのほうが強い」。先発したフィールド選手では最年長となる27歳のMF工藤浩平は悔しさをあらわにしながら、「最後に負けた、この光景を無駄にしないように、日々の練習からしっかりやっていかないといけない」と指摘する。次々とJ1勢を撃破してきた自信も、決勝で敗れた悔しさも。そのすべてが若いチームの貴重な財産になったのは間違いない。

(取材・文 西山紘平)

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