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[選手権]難敵・聖和学園を沈黙させたスーパーゴール!交代策的中の近大附が3回戦進出

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[1.2 全国高校選手権2回戦 近大附2-1聖和学園 NACK]

 第90回全日本高校サッカー選手権大会は大会3日目を迎え、2回戦16試合が行われた。埼玉県のNACK5スタジアム大宮で行われた第2試合では1回戦で盛岡商に5-1で圧勝した近大附(大阪)と、ドリブルにこだわる独特なサッカーの初出場校・聖和学園(宮城)が対戦。試合はMF荒金照大(3年)のミドルシュートが決勝点となり、近大附が2-1で勝利した。近大附は3日の3回戦で市立西宮(兵庫)と戦う。

 前半立ち上がりの2分、思わぬ形でゲームは動いた。聖和学園DF池田リアンジョフィ(3年)が近大附FW刈谷聖哉(3年)のプレッシャーを受けてボールを失い、そのまま持ち込んだ刈谷のゴールで近大附が先制した。聖和学園は早々に失点したこともあり、序盤は自慢のドリブル突破がなかなか出せなかった。しかし「徐々に相手のドリブルとショートパスのサッカーにはまってしまい、中をドリブルで割られるシーンが多くなった。ボールを向こうが持っている時間が長いのでやられている感があったようで、焦って飛び込んだ所をかわされた。我慢して外へ追いやれば良かったが、イライラしてきていた」と近大附の山田稔監督が語った通り、聖和学園は徐々にドリブル突破で近大附の高いDFラインを押し下げて、チャンスを作れるようになった。そして37分、聖和学園の左SH藤原元輝(3年)が左サイドでドリブル突破し陣内を深くえぐってクロス。これを右SH庄子敦史(3年)が頭でゴール右上に突き刺して聖和学園が同点に追いついた。

 前半途中から劣勢になったことを受けて近大附の山田監督は「ボランチの荒金が攻撃に出て行き、安田大樹(3年)が1ボランチになってしまい、その両サイドが空いてバイタルを使われた。荒金には攻撃参加を抑えるように言って、後半DF吉野晃基(1年)を投入するからそこで前へ行くように言った」とチームを修正。後半立ち上がりは荒金の攻撃参加を抑えさせ、11分にFW吉野竜生(1年)に代えて、吉野竜と双子の吉野晃を投入した。吉野晃はボランチに入り、荒金が3トップの一角に入った。

 この交代が当たった。聖和学園の徐々に足が止まり始め、間延びした隙を突き、近大附が多くの決定機を作り出す展開に。そして30分、近大附はFW黄将健(3年)からのパスを受けた荒金が豪快に右足を振り抜きミドルシュートを放った。この一撃が聖和学園GK舘内魁(3年)の手をかすめてゴールネットを揺らし、2-1とついに勝ち越した。その後も近大附は多くの決定機を作り出し、聖和学園の反撃を抑えてこのまま試合終了。近大附が2-1で勝利した。

 聖和学園のドリブルサッカーには手こずった近大附だったが、「あのペースで行くと最終的に足に来ると思っていた」と冷静に聖和学園の様子を見ていた山田監督は、交代策を的中させて勝利をつかんだ。3回戦の対戦相手は同じ近畿勢の市立西宮。「関西同士だが、練習試合も全然経験がない。非常に集中力の高いチームと聞いているので良いゲームができればと思う」と意気込んだ

 魅惑のドリブルサッカーで大いに大会を盛り上げた聖和学園の加見成司監督は「今日の試合で終わってしまうのは寂しい。攻撃サッカーを掲げているので2点取られたら3点、4点取るというサッカーが今日はできなかった」と攻撃的な姿勢を見せ切れなかったことを悔やんだが、「七期生(3年生)はいろんなものを残してくれた。この子たちが置いていってくれたものは大きい。全国に出て自分たちのサッカーを見てもらうことを思う存分楽しもう! とこの大会に乗り込んでやってくれていた」とこの大会を「楽しんだ」選手たちを讃えた。キャプテンのDF斉藤健(3年)は「何もかも初めての大会で、それを含めて楽しめた。欲を言えばもっとみんなでサッカーをしたかったが、最後の最後まで聖和らしいサッカーができて誇りに思う」と自分たちのサッカーを貫けたことを誇り、やはり大会を「楽しめた」ことを語った。話題を呼んだ聖和学園は最後まで自分たちのやり方を貫き、全国大会をしっかりと「楽しんで」去って行った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)


(取材・文 小林健志)
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