beacon

[選手権]「悔いはない」県勢初の4強入り、大分は名門の前に散る

このエントリーをはてなブックマークに追加
[1.7 全国高校選手権準決勝 大分1-2市立船橋 国立]

 大分県勢として初めて国立の舞台にたどり着いた大分(大分)は初の決勝へ、あと一歩及ばなかった。市立西宮との準々決勝で右足首の靭帯を損傷したMF上野尊光(3年)が欠場した影響もあり、スピードのある3トップをDFラインの背後に走らせる“フリーマンサッカー”を封印。1トップ+トップ下2人の4-5-1で中盤を厚くしたが、前半24分に直接FKを決められ、ゲームプランが崩れた。

「前半は慎重に、簡単にやろうということだったけど、相手のFKがうまかった。慎重にいって、中盤で守備の負担が増えた分、前の選手が疲れて、後半もセカンドボールを拾えなかった」。DF若林喜史主将(3年)は唇をかむ。後半11分にはカウンターから決定的な2失点目。同36分、MF佐保昂兵衛(3年)の右FKにDF清家俊(3年)が頭で合わせ、1点差に追い上げたが、反撃もここまでだった。

 1-2となってからの市立船橋は追加点を狙うことなく、コーナー付近でボールキープに入った。勝負に徹した名門に1-2の惜敗。試合後、朴英雄監督は市立船橋の朝岡隆蔵監督に握手を求めた。「市船がそんなことせんといてよ」。思わず“恨み節”も漏れたが、4度の全国制覇を誇る名門の壁は厚かった。

 試合後のロッカールームでは「落ち着いて冷静になって、泣くのは止めて、堂々と胸を張れ」と選手に声をかけたという朴監督。若林は「全国でもやってないようなサッカーでここまで来れて、やってきたことは間違ってなかったし、監督の言うとおりにやってきてよかった」と感謝し、「県勢初のベスト4を達成できて、目標だった国立まで来れて、悔いはないです」と顔を上げた。

「来年、引っ張っていく選手たちには『ここで泣いて終わらないように。来年もここに来いよ』と話しました」。異色のサッカーで大会に旋風を巻き起こした大分。その挑戦はベスト4で終わったが、人々の記憶に残るサッカーを見せてくれたことは確かだ。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2011

TOP