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[選手権]「選手権で優勝することが使命」のゲキ、名門・市立船橋の目標は優勝だけ

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 選手権優勝は市船の使命だ。全国高校サッカー選手権で7年ぶりとなる決勝進出を果たした市立船橋(千葉)だが、彼らが求めているものも、期待されているものも優勝だけ。FW和泉竜司主将(3年)は8日の練習後に「選手権の優勝は価値が違う。高校サッカーと言えば選手権と思っていたし、選手権のタイトルが欲しかった。求められているのは優勝で、2位、3位は変わらないと言われている。絶対に優勝します」と宣言した。

 市立船橋は10年度の全国高校総体で滝川二(兵庫)との決勝を延長戦の末に4-1で制し、史上最多の7度目となる全国制覇を成し遂げた。ただ直後に船橋市役所で開催された優勝報告会に出席したイレブンに対して船橋市の藤代孝七市長は祝辞もそこそこに「60万人の(船橋)市民がよくやった、と思っているけれど、選手権で優勝することが(市立船橋サッカー部の)使命だと思っている。頑張ってほしい」と強烈なゲキ。日本一となることはもちろん偉業ではあるが、名門に求められているのはあくまで注目集まる選手権での日本一なのだ。

 90年代半ばから00年代初頭までのOBたちはそのプレッシャーに打ち勝って選手権で日本一を獲得してきた。自身も94年度の日本一メンバーである朝岡隆蔵監督は「(全国総体では過去5年で3度優勝しているが)OBからは『最近ダメじゃん』と言われています。選手権はそれほどの影響力がある。ボクもそうでしたし、選手たちは選手権で勝っている姿を見て市船に来ている。選手権は(1年の)最後の最後に『どこが強いんだ』という大会。インターハイもとても重要な大会ですけれど、一番勝たなければいけない試合は選手権だと思っている」とその重要性を口にした。

 市船は選手権で勝たなければならない――。それは選手たちも自覚している。10年夏、2年生MFとして日本一に貢献していたMF菅野将輝(3年)は「(市長からのゲキには)自分も驚いたけれど、インターハイは、千葉から2チーム出られる大会で選手権は1チームだけ。本当の日本一はこの選手権。自分も(02年度決勝の)国見戦で小川選手が(決勝ゴールを)決めた時に見に来ていた。そして小学校の頃から市船でやりたいと思っていた。選手権で優勝することが夢です」と言い切った。準決勝を突破して満足している選手はいない。選手権で優勝してこそ、本当の日本一だと信じている。9年間選手権優勝から遠のいたが今回のチャンスは絶対に逃さない覚悟だ。

 10年全国高校総体で得点王を獲得し、MVP級の活躍で優勝へ導いている和泉も思いは同じ。地元のために、そして試合に出られない3年生のために決勝を勝利で飾ることを誓っている。「(地元やOBは)求めるものが高いと思った。船橋市にはグラウンドやいろいろな部分でお世話になっている。しっかり勝って報告したい。いい報告ができるように結果を残したい」。勝てば9年ぶりとなる復権。近年の選手権では初優勝校が続いていたが、今冬は「選手権で優勝することが使命」である名門・市立船橋が高校チーム最強であることを証明する。

(取材・文 吉田太郎)

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