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[選手権]スタンドからピッチサイドから…國吉の祈り届かずも「悔いのない大会」

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[1.9 全国高校選手権決勝 市立船橋 2-1(延長)四日市中央工 国立]

 願いは届かなかった。準決勝で累積2枚目の警告を受け、出場停止となった四日市中央工のMF國吉祐介主将(3年)はスタンドから試合を見守り、後半20分過ぎにはピッチサイドにまで降りてきて、声援を送った。

 前半1分に決めた先制点を後半ロスタイムまで守っていた。必死に体を張り、市立船橋の猛攻を跳ね返すピッチ上の選手たち。日本一は目の前だったが、土壇場の失点で追いつかれ、延長戦で力尽きた。

「僕も悔しいけど、ピッチの中の選手はもっと悔しい気持ちだったと思う。僕が出てない分、代わりに出た生川や他の選手がみんながんばってくれて、自分としては悔いのない大会になりました」

 國吉に代わってキャプテンマークを巻いたDF西脇崇司は相手の強力2トップに体を張って対抗。國吉の抜けたボランチに入ったMF生川雄大も足がつって後半42分に交代するまで劣勢の中盤で奮闘し、走り回った。

 試合後、ピッチに崩れ落ちる選手たちを励まし、気丈に振る舞っていた國吉だったが、ローカールームに戻ってチームメイトから「3年間ありがとう」「ごめん」と声をかけられると、涙をこらえることはできなかった。

「本当に最後の最後までがんばってくれて、みんなには笑ってほしかった。泣かないと決めていたけど、最後は……。みんなに謝られたけど、みんなは本当にやってくれたし、僕のほうが謝りたい」

 ベンチには國吉の背番号17のユニフォームが飾られ、文字どおりチームが一丸となって戦った。名門復活を印象づけ、あと一歩のところまで迫った日本一。夢の続きは後輩たちに受け継がれていく。

(取材・文 西山紘平)

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