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カズが1試合限定でFリーグに出場、5000人のファンを魅了し勝利に貢献

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 カズがフットサルコートに立った。1月15日、北海道きたーえるで行われたFリーグ第23節のエスポラーダ北海道vs府中アスレティック戦に、北海道の一員として横浜FCのFW三浦知良が出場。1試合限りの限定出場となったカズを見たさに、Fリーグでは異例の5000人以上の観客が集まり、カズの一挙手一投足を見守った。カズ効果もあって、北海道は3-2で接戦を制し、今季初の2連勝を飾った。

「まず本当に勝利したことがうれしい」

 ミックスゾーンに現れた“キング”こと三浦知良は安堵の表情を浮かべた。これまでさまざまなクラブでプレーしてきたカズだが、サッカー以外のスポーツで公式戦に出るのは初めてのこと。しかも、自主トレのスケジュールとの兼ね合いでチームに合流したのは試合前日。ぶっつけ本番での挑戦だった。

 それでも「前日練習でフィットしていたし、お客さんも望んでいたし、僕自身も見たかったので」(小野寺隆彦監督)と先発起用されたカズは、フットサル初挑戦とは思えないプレーを見せ、キングのキングたるゆえんを実証する。

「もちろん、100%にはできなかったと思いますし、何%できたかは自分では分からないけど、チームメイトにすごく助けられた。後ろから細かく指示してくれたおかげで、スムーズにできたところもあったと思います」

 前日練習でカズは北海道の選手たちに「どんどん指示を出して。勝つためには遠慮しないで。『カズ』って呼んで下さい」と声をかけた。スーパースターを目の前にし緊張気味だった選手たちにとって、カズの言葉は大きかったに違いない。

 カズの勝利へのこだわりが最もよく現れたのが、3-2の1点リードで迎えた後半終了間際のシーンだった。ゴールを狙う府中はFPをGKにして数的有利な状況で攻めるパワープレーの準備をしていた。カズにとってパワープレーは未体験だ。

 小野寺監督は「カズにゴールを決めてほしい」と、パワープレー直前までカズをピッチに立たせていたが、カズは「僕のゴールなんて重要じゃない。チームが勝つほうが大事だから、監督が代えたかったら代えていい」と自ら交代を直訴。カズがベンチに下がり、相手のパワープレーを全員で守った北海道がそのまま逃げ切り、見事に勝利を飾った。

 期待されたゴールこそ決めることはできなかったが、“らしい”プレーの数々と、プロフェッショナルな姿勢でファンを魅了したカズ。北海道のみならず、Fリーグにとって、そして日本のフットサル界にとって、2012年1月15日は歴史的な1日となった。

(取材・文 北健一郎)

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