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「松田直樹は最高でした!」元代表選手が集結、カズがヒデが松田さんを追悼

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 昨年8月4日に急逝した故・松田直樹さんを追悼する「松田直樹メモリアルゲーム」が22日、日産スタジアムで開催された。横浜FMの現役選手やOB、元日本代表選手らそうそうたる顔ぶれが集結。4万475人の観衆が駆けつけた。

 前夜から降り続いた雨も第1試合のキックオフを迎えるころには止み始め、第2試合が終わるころには晴れ間ものぞいた。試合前のセレモニーでは大会副実行委員長の佐藤由紀彦(V・ファーレン長崎)が「きっとこのスタジアムのどこかにいるであろう直樹が嫉妬するぐらい、今日はサッカーを楽しんでやりましょう。それがあいつが一番望んでいることで、喜ぶことだと思います」と挨拶。グラウンド上では全選手が、松田さんが付けてきた背番号「3」の一文字をつくり、黙祷を捧げた。

 第1試合では松田さんが亡くなるまでプレーしていた松本山雅FCと、松田さんの古巣である横浜F・マリノスの現役選手とOB選手で構成された「横浜F・マリノス・OB」が対戦した。30分1本のゲームは、18分にDF玉林睦実の右クロスにFW片山真人がニアでヘディングで合わせ、決勝点。今季からJ2に昇格する松本が1-0で勝利をおさめた。
(第1試合の試合記録はコチラ)

 第2試合では、日本代表などで松田さんと一緒にプレーした元代表選手を中心に構成された「Naoki Friends」と「横浜F・マリノス・OB」が対戦。02年の日韓W杯で日本代表を指揮したフィリップ・トルシエ氏が監督を務めた「Naoki Friends」は、昨季限りで現役を引退した田中誠宮本恒靖がCBを組み、中盤の右サイドに中田英寿、2トップの一角にはFW三浦知良(横浜FC)が入った。

 代名詞のシザースフェイントで観衆を沸かせるカズはセットプレーのキッカーも務めた。前半11分にはカズの右CKを藤田俊哉が頭で落とし、福西崇史が左足でゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定。同13分、中田のスルーパスから右SB田中裕介がGKを引き付けてゴール前にクロスを上げると、カズが右足ボレーで狙ったが、ゴール上に外れてしまった。

 すると、「横浜F・マリノス・OB」は前半18分、城彰二のヒールパスから大会実行委員長でもある安永聡太郎が右足アウトサイドでシュート。PA外から狙ったループ気味のシュートは鮮やかにゴールネットを揺らし、先制点を奪った。

 リードを許した「Naoki Friends」だが、日本サッカーの歴史をつくってきた2人が次々と見せ場をつくる。前半34分、右クロスを中田がバックヘッドでつなぎ、カズが胸トラップからオーバーヘッドキック。しかし、これも浮いてしまい、同45分にはカズの縦パスを中田がワンタッチでヒールで流し、山瀬功治がゴールネットを揺らしたが、またしてもオフサイドだった。

 両チームともにメンバーを大きく入れ替えた後半も往年のスターたちが会場を盛り上げた。「Naoki Friends」の2トップは小倉隆史と西澤明訓。中盤の攻撃的な位置には森島寛晃と前園真聖が入り、名波浩と山口素弘がダブルボランチを組んだ。しかし、後半14分、森島の右クロスに合わせた小倉のヘディングシュートはミートせず。同37分、山口が思い切りよく狙ったミドルシュートもGKの正面を突いた。

 そして後半39分、再びカズと中田がピッチへ。試合終了間際の後半44分には中山雅史もわずかな時間ながら出場を果たし、スタンドは大いに沸いた。しかし、後半45分、カズの左クロスに合わせた石塚啓次の右足ボレーも外側のサイドネット。試合は1-0のまま終了し、「横浜F・マリノス・OB」が制した。
(第2試合の試合記録はコチラ)

 試合後のセレモニーで安永は「松田直樹が愛したサッカーは素晴らしいなと、あらためて思いました」と挨拶。「上にいるのか、下にいるのか、このへんをさまよっているのかは分からないですが、声援は松田直樹に届いたんじゃないかと思います」と感慨深げに語った。挨拶の途中でマイク音にノイズが入るアクシデントにも「直樹のイタズラです。こういうやつなんです」と笑った安永。「でも、そんな松田直樹は最高でした!」。松田さんのために集まったすべての人たちが思いを一つにし、あっという間に過ぎ去った夢の時間を笑顔で振り返っていた。

(取材・文 西山紘平)

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