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「2位、3位ではなく優勝」、鹿島・ジョルジーニョ新監督が「勝者」の哲学を披露

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 鹿島アントラーズは30日、新加入記者会見を行い、前日29日に来日したジョルジーニョ新監督、アイルトン新コーチ、ジョエルトン新フィジカルコーチ、古川昌明新GKコーチらが2012シーズンの抱負を語った。

 95~98年の4シーズンに渡って鹿島でプレーした元ブラジル代表DFが、監督として帰ってきた。14年ぶりの“復帰”は、クラブ史上初となるOB選手の監督就任。「自分がここにいることを光栄に思っている」。そう語った新指揮官は「現役選手としてクラブの歴史を刻み、初めて元選手が監督として指揮するということで、その期待に応えることができればと思っている。選手時代にいい歴史を刻むことができた。今度も同じような結果、それ以上の結果を残したい」と力強く語った。

 現役時代にはJリーグ通算103試合出場17得点を記録。96年、98年と2度のJリーグ制覇を成し遂げ、96年には年間MVPにも選ばれた。97年にはナビスコ杯、天皇杯の2冠を達成。常勝軍団の礎を築いた功労者の一人と言える。

 07~09年にJリーグ史上初の3連覇を成し遂げたクラブはその後、リーグ優勝は逃しているが、10年は天皇杯、11年はナビスコ杯を制するなど、5年連続でタイトルを獲得し、国内3大タイトル15冠を達成した。オリヴェイラ前監督のあとを継ぐジョルジーニョ新監督に求められるのも当然、タイトルの獲得。しかし、そんなプレッシャーを感じさせることなく、就任1年目でのリーグ制覇を堂々と宣言した。

「鹿島は日本のサッカー界で一番多くのタイトルを取っている。そのベースの下でやっていく以上、優勝を考え、常にリーグの主役として、優勝しなくてはならない使命をみんなが感じないといけない」

 Jリーグのみならず、フラメンゴでブラジル全国選手権、バイエルンでブンデスリーガを制し、ブラジル代表としても94年のアメリカW杯で世界一に輝いた。鹿島に脈々と流れる「勝者のメンタリティー」を体現してきた指揮官の熱弁は止まらない。

「現役生活は10年、15年しかない。その中で、ただサッカー選手であったことと、サッカー選手であり、かつ勝者であったこととは大きく異なる。短い現役生活の密度を濃くし、多くの結果を得ることが大切で、サッカーに対する情熱を熱く持たなければならない。一人ひとりが優勝するための意識を持って取り組めば、成果は出ると思う」

 ジョルジーニョ監督はすでに昨季の試合を11試合程度、映像でチェックしたという。「PAまで進入して、チャンスをつくることはできていたが、唯一、得点に結びつけることができていなかった。創造性は高いものを持っているが、最後のところで落ち着き、自信がなく、得点に結び付けられなかった」。そう分析したうえで「前線の選手の能力が低いとは思ってない。大迫は高い能力を持っているし、今後も成長できる。興梠も運動量が豊富で、縦に横に動いてがんばれる選手。新たに加入したジュニーニョも、彼の能力、得点力がチームの力になる。自信を持たせる作業、練習の積み重ねになる」と、決定力不足解消を最重要テーマに掲げた。

「2位、3位ではなく、優勝する。鹿島に関わる人たち全員が望んでいるタイトルはACL。ACLのタイトルを手にしたいし、クラブW杯に出場したい。それは先の話だが、まずはACLの出場権を勝ち取らなければならない。Jリーグで優勝して、その権利を勝ち取る。その意識で取り組んでいきたい」。5年ぶりに逃したACL出場権を取り戻し、アジア、そして世界へ挑む。頂点だけを見据えるジョルジーニョ監督の下、新生・鹿島が3年ぶりの王者奪回へ走り出した。

[写真]会見に臨んだ左から古川昌明GKコーチ、ジョエルトン・フィジカルコーチ、ジョルジーニョ監督、アイルトン・コーチ

(取材・文 西山紘平)

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