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試合後に模試受験、闘莉王母校の進学校・渋谷幕張が4発V:千葉新人戦Bブロック

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[2.4 千葉県高校新人大会Bブロック決勝 渋谷幕張4-1市川東 八幡球]

 平成23年度千葉県高等学校新人サッカー大会Bブロック決勝で昨年の全国高校選手権千葉県大会4強の渋谷幕張と市川東が対戦。渋谷幕張がMF粟田晋平(2年)の2ゴールなど4-1で勝利し、優勝した。

 かつて田中マルクス闘莉王(名古屋)を擁して全国出場も経験している渋谷幕張。同校は全国でも有数の進学校であり、サッカー部からも東京大学合格者を出すほどだ。勉強もサッカーも手抜きをしない選手たち。この日の試合後も2年生たちは模試を受けるために急いで移動していた。部員27名と少数のチームだが、山口国体少年男子優勝メンバーの司令塔・MF坂巻翔大(2年)が「選手権で全国に出たい。小目標が昨年越え、大目標は全国」と言い切ったように文武両道のチームは坂巻やエースFWチアゴ・ペレイラ、CB橘川友哉(ともに2年)のセンターラインを中心に昨年越えを目指している。

 この日は昨年からレギュラーの守護神、白石壮大と主将のDF高橋尚大(ともに2年)が欠場。それが影響してか、序盤はSBの背後を強襲してくる市川東のMF石田彰やMF杉本篤凞(ともに2年)に決定機をつくられる場面があった。局面で技術を見せるMF金成凌や、MF伊藤国哉、MF小川貴凡(全て2年)の展開からスピードのある攻撃を繰り出す市川東。だが先制し、試合の主導権を握ったのは渋谷幕張の方だった。

 前半15分、渋谷幕張は左サイドの技巧派MF石川敦也(1年)のラストパスからDFの背後を突いたMF吉住航輝(2年)が先制ゴール。その後も注目FWチアゴがDF2人を跳ね飛ばして左サイドを打開するなど決定機をつくる渋谷幕張は前半39分、左SB仲祐太朗(1年)のクロスをファーサイドから飛び込んだ粟田が頭で押し込んで2-0とした。

 中盤から飛び出す動きの少なかった序盤に比べて明らかに流れが良くなった渋谷幕張は、後半もチアゴのスピードとパワーを活用したダイナミックな攻撃で加点する。9分には坂巻からパスを受けたチアゴが縦に仕掛けてからクロスボール。これを受けたFW齋藤綱太(1年)がマークを外して左足でゴールを破ると、12分にはチアゴの左アーリークロスをファーサイドの粟田が右足ダイレクトで合わせて勝敗の行方を決定付けた。

 だがこの後、メンバーを大きく入れ替えた渋谷幕張に対して市川東も意地を見せる。後半31分、左サイドからドリブルでDFをかわした石田がGKとの1対1を冷静に制して1点を返した。この後も反撃を続ける市川東はクロスやセットプレーからシュートにまで持ち込んだ。ただ、これ以上の失点を許さなかった渋谷幕張が4-1で勝利。坂巻が「選手権でベスト4だったので圧倒できる試合をしよう、前半から飛ばしていこうと言っていた」という通りの試合運びで相手を押し切った。

 目標はもちろん全国だが、簡単に達成できる“ノルマ”ではない。就任28年目となる渋谷幕張の宗像マルコス望監督は「ウチは部員が27人。昨年は3年生が多かったけれど、あれだけ抜けると・・・・・・。今年は下級生からも出てこないといけない」。この日は経験の少ない1年生6人が先発。最終ラインが乱れるなど脆さもあったが、足技に優れた石川、強さと狙い済ましたオーバーラップが印象的だった仲の左サイドが存在感を示すなど、今後を期待させる内容だった。「文武両道がテーマ」の渋谷幕張。昨年の選手権予選では準決勝で流通経済大柏に1-2で惜敗したが、今年こそは12年ぶりとなる全国切符獲得へ、勉強との両立をしながら技を磨く。

[写真]渋谷幕張の注目FWチアゴは2アシスト 
(取材・文 吉田太郎)

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