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柏vsF東京 監督会見要旨

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[3.3 富士ゼロックススーパー杯 柏2-1F東京 国立]

 富士ゼロックススーパー杯が3日、東京・国立競技場で行われ、昨年のJリーグ王者柏レイソルと天皇杯覇者のFC東京が対戦。柏がMFジョルジ・ワグネルの弾丸ミドルとMFレアンドロ・ドミンゲスのPKによって2-1で勝利し、2012シーズン最初のタイトルを獲得した。以下、試合後の監督会見要旨

柏レイソル ネルシーニョ監督
「我々にとって(今年)2試合目で、オフィシャルとしては初めての試合だったんですが、お互い本来のリズムにはなく、立ち上がり、特に我々は相手のプレス、勢いに押し込まれるシーンが非常に目立っていて、守備に回ることが多かった。ボールを自陣で奪ってもすぐにまた相手に奪われたり、自分達のミスから連続した攻撃を受けるということが多かったと思う。徐々に自分達で守備のところのオーガナイズをしながら“はまり”を探しながらやっている段階で、あのジョルジのゴールが非常にチームに落ち着きを与えてくれたのは確かだと思う。その後、10番の梶山、彼にゲームをつくらせないようにケアをしながら、安定した形で前半を折り返すことができた。後半になると相手もやはり力のある選手、色々な選択肢のある選手が多いので、そこでいろいろな形からいい形をつくられ、押し込まれる時間があったが、カウンターで私達もいくつかいい形、決定的な、追加点を取れる形をつくることができた。そこで取れれば、また違う展開になっていたと思う」

―押し込まれた理由
「押し込まれているときに、自分達が奪ってからがいつもつなげなかった。すぐに敵に渡したり、奪われたりで相手の切り替え、守備のところに苦しんだところが押し込まれた理由だと思っている。ゲームが落ち着いてからは、しっかり守備ができていたと思うので、奪った後のところが良くなかったと思います」

―ハーフタイムの『無理につなぐ必要はない』の意図は
「相手の守備が良くて我々が自陣からつなげない時に『上を越していく』、そういう道もあることを伝えたかった。自陣でプレスで苦しんでいるということは、相手のディフェンスラインがそれなりに高いということ。ですので、我々がボールを奪った瞬間にそのスペースを突くこともできるし、奪った後にパスもつないだところでプレスがかかるならば、上を越して一回ディフェンスラインを押し下げる。そういうことも効果的に行えると思う。前半はそこが上手くできていなかったけれども、後半はスペースを上手く有効に使えていた時間があったと思う」

―ACLの目標があると思うが、準備は順調に整っているか
「(ACLは)とても重要な国際大会で、しかも年末のCWCの出場権もかかっている大会。毎年日本からは4クラブが出場している訳だが、近年なかなか遠ざかっている。最後に勝ったのはガンバだったと思いますが、こういう国際大会は日本のサッカーを全世界に普及することにつながる、価値の高い大会だと思う。それに参加する我々は、日本のチームとしてとにかくそこ(ACL優勝、CWC出場)を意識しながら、とにかく1次予選を突破して次につなげようという準備をしています」

FC東京 ランコ・ポポヴィッチ監督
「皆さんに楽しんで頂けた試合だったんではないでしょうか。こういう結果なので、私は心から楽しむことはできなかったが、合宿が終わり、初めての公式戦ということを考えると、必ずしも悪くはなかったと思う。そして試合を通じて常に私達がボールを握り、主導権を握ってプレーできたということ。残念ながらフィニッシュの精度を欠き、結果には結びつけることはできなかったが、見ている人にも我々が何を目指しているのか、示せたのではないかと思う。サッカーですから勝ち負けがある訳で、きょうに関しては最後のところで私達に少し運が足りなかった印象です。
 サッカーではよくある事だが、柏は1本目のシュートでゴールに結び付けて、3本目のシュートで2点目を奪った。それが経験の差というか、我々は新しくチームをつくっている訳だが、柏は何年も同じチームでやっている。そこの違いかなという風に思う。(ただ)今日の結果に対しては素直に『柏オメデトウ』と伝えたいと思う。
 きょうの試合で挙げることのできる課題は、自分達のミスからピンチを招いてしまったということ。森重も1回ありましたし、徳永も1回ありましたし、両CBのところからのミスで決定的な場面をつくられてしまった。そこは修正しなければいけない。ただ、シーズンはまだまだ長いですから、これからひとつずつ着実に積み上げていきたいと思っている。きょう試合が始まる前に『きょうはサッカーの祭りだ』と言い、『いいサッカーを見せてプロパガンダする』ということを伝えたけれども、きょうの試合を見てもらっても分かる通り、皆さんが満足する内容の試合を見せることができたのではないか。ただ、もちろん結果に満足することはないし、まだまだここから続いていく訳だから、しっかりと課題を修正していきたい。きょうは最後の部分で運が足りなかったと思う」

―1点目を取られた後のプレーがそれまでと全く変わってしまったが
「私はサッカーに今まで長く携わってきたが、90分間相手のPAでサッカーし続けることができるチームは知らないし、流れがあるのは当たり前だと思う。きょうの我々の相手は日本チャンピオン。彼らの最大のチャンスは全てカウンターからつくられたものだった。(一方で)ウチのチームは主導権を握って相手を崩してチャンスをつくる。もちろん、今言われた通り、相手にボールを持たせる時間をつくらせないように、これからもっともっと精度を上げていくトレーニングをしていかないといけない。ただ、きょうの相手は大学生ではなく、柏レイソルだということも忘れてはいけないと思います。
 そのチャンピオン相手にもボールを支配していたのは私達だと思いますし、その点に関しては継続してより質を上げていきたいと思う。1失点目に関しては相手を褒めるしかないと思いますけど、2点目に関しては私達のプレーの質が落ちたというよりも北嶋が上手く“転んだ”、“落ちた”ということに注目されるべきだと思います。私達はそれで高い代償を払うことになったんですけれども」

―谷澤選手が交代したときにかなり話していたが、それは残念だったプレーの確認だった?
「そういうことは話さずに、交代前に少し運動量が落ちた部分があったので足は攣っていないか、コンディションはどうか、と言う話をした」

―何を一番重要視しているか
「チームづくりで私が気を遣っているところは選手のパフォーマンスをどんな些細な部分でも見逃さないということ。観察することはいつも気をつけている。加えて先発の11人だけが質の高いプレーをするのではなく、代わりに入る選手に関しても同じ、またはそれ以上のプレーをするということにすごく気を遣っている。そして私が言いたいのは、きょうベンチ入りした18人だけでなく、それ以外の選手たちも重要だということ。これは声を大にして皆さんに伝えたいと思います。次の試合はきょうベンチに入っていなかった選手が出るかもしれない。私はトレーニングのときから全員のピッチ内外のパフォーマンスを見逃さないようにする。それがひとつの仕事だと思います」

―高橋選手がいいプレーしたと思うが、CBの間に入ってプレーしていたことが多かった。これは監督の指示なのか、それともあんなに下がらなくてもよかったのか
「まず高橋に関しては非常にインテリジェンスに溢れたプレーヤーということが言えると思います。私達のチームはSBが高い位置を取るため、その時に残るのは2CBになる。そこで大事なのは、しっかりとその場の状況を判断して、そのCBの間に入って、ピンチを防ぐことのできる選手、その判断ができる選手が必要だということ。ただ、きょうの試合を見てもらって分かると思うが、彼はウチのディフェンスラインに入ってプレーするよりも、相手のPA付近でプレーする時の方が多かった。もちろん、それはもうひとりのボランチの梶山もしなければならない役割。高橋秀だけがそこに入ってプレーするという訳ではなく、そこで2人がローテーションしながらプレーすることを私達は求めています。ただ、森重に関しては彼がドリブルするときにはすぐにカバーに入るように選手には言っています。危ないので(微笑)」

(取材・文 吉田太郎)

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