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J復帰戦の新潟FW矢野貴章、決定機活かせず「チャンスを確実に決めないと」

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[3.10 J1第1節 川崎F1-0新潟 等々力]

 10年W杯後にフライブルク(ドイツ)へ移籍した男がJのピッチへ帰ってきた。Jリーグでの公式戦は10年8月21日の川崎F戦以来、1年7か月ぶり。ブルーノ・ロペスと2トップを組んで先発したアルビレックス新潟FW矢野貴章は開始直後の1分、いきなりゴールエリア付近でパスを受けて決定的な右足シュートを放つ。ただ復帰第1号かと思われた一撃はGK西部洋平の正面を突いてゴールならず。後半ロスタイムにもゴール前の混戦から再び決定的な場面を迎えたが、川崎Fの必死の守りの前にゴールを破ることができなかった。

「負けたのは非常に残念ですし、悔しいです」と敗戦に首を振った矢野。「自分が点取りたいと思ってやっていた。ああいうチャンスを確実に決めないといけない」と無念さをにじませていた。それでも復帰が発表された2月8日からわずか1か月間でポジションをつかみ、開幕戦で先発フル出場。11-12年シーズンのフライブルクでは17試合連続でベンチ外となり戦力外通告されるなどコンディション面が懸念されていたが、「(90分間)できると思っていた」という通りに前線からのフォアチェックやダイナミックな飛び出し、空中戦でも奮闘した。無得点には終わったものの、黒崎久志監督も「彼らしいプレーを見せてくれた」と評価していた。

 今年は「自分を再生させるため」J復帰を選んだ矢野が「勝負の年」と位置づける一年。ドイツでの悔しい思いをJの舞台で、新潟のためにぶつける。「いい意味でプレッシャーをかけて挑戦していく。結果を出してチームが勝てばそれでいい」。チームは敗れたが終盤は川崎Fをゴール前に釘付けにする場面もあり、「最後まであきらめずに戦ったことは次につながる」と語った矢野が、ホーム開幕戦となる次節・大宮戦でゴールを決めてチームに今度こそ勝利をプレゼントする。

(取材・文 吉田太郎)

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