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[ヤングサッカーフェス]「ヤバイ」「勝利に飢えている」連敗の日本高校選抜に強い危機感

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[3.11 ヤングサッカーフェスティバル 日本高校選抜3-4静岡県高校選抜 愛鷹]

 U-18Jリーグ選抜に0-3で完敗したFUJI XEROX SUPER CUP2012 NEXT GENERATION MATCH(3月3日)に続き、1学年下の世代である静岡県高校選抜に敗れた日本高校選抜。ロスタイム被弾で
競り負けた試合後、「ヤバイ」「ヤバイ」という言葉が各選手の口から発せられていた。

 あまりにも早く決めてしまった先制点が油断となってしまったか。日本高校選抜は試合開始直後の2分、MF浅野拓磨(四日市中央工)がGKとディフェンスラインの間に落とした左クロスをU-19日本代表候補FW和泉竜司(市立船橋)が頭で押し込んで先制する。ただ、これで気が緩んでしまったか、年上の日本高校選抜撃破を狙う静岡県選抜の攻勢を受けてしまい、相手のハードワークとスペースを逃さない高精度の攻撃に押し込まれてしまう。日本高校選抜もU-19日本代表候補MF差波優人(青森山田)のスルーパスから浅野がシュートへ持ち込み、MF寺尾俊祐(四日市中央工)と和泉のパス交換からオーバーラップしたSB佐保昂兵衛(大分)が右足シュートを放つなど攻撃面ではチャンスをつくっていたが、相手のサイド攻撃、クロスによって守備陣が攻略されて前半だけで3失点を喫してしまった。

 選手同士が話し合ったというハーフタイムを経て、相手の良さを消し、エンジンもかかった後半は前線からのプレッシャーの速さと、球際の攻防戦でもパワーで上回った。そして7分にFW菊池将太(浦和東)が相手GKのパスをインターセプト。PAでパスを受けた和泉がDFをかわしてゴールを破る。さらに11分には交代出場のFW宮市剛(中京大中京)が豪快に右サイドを切り裂いてクロス。ファーサイドで待ち構えていた浅野が頭で同点ゴールを押し込んだ。

 さらにC大阪のMF後藤寛太(市立西宮)投入でペースの上がった日本高校選抜は27分、菊池のポストプレーからPAへ飛び込んだ後藤が倒されてPKを獲得。絶好の得点機を迎える。だが菊池が放った右足シュートはコースが甘く左へ跳んだGKがセーブ。この後も30分に後藤が放った右足コントロールショットはGKに阻まれ、38分に交代出場のMF田村翔太(四日市中央工)の右クロスから和泉が迎えた決定機はヘディングシュートが枠を外れてしまう。GK山田修平(山梨学院)がゴール右上隅へ飛んだ静岡MF石毛秀樹の鮮やかな右足シュートをバックステップからゴール外へはじき出すビッグセーブもあったが、ロスタイムにミスから失点し、力尽きた。

 2試合で4失点。ただ、欧州遠征がターゲットと言い続けてきた日本高校選抜の山下正人監督(駒場)は前向きで「勝負にこだわれ、と言ったから最後頑張ったと思う。(欧州遠征の前に)いい肥やしになった」。年下に喫した連敗の悔しさを欧州で爆発させる。2得点の和泉は「勝ちに飢えています。(同点の)後にも決めるチャンスはあった。逃さないようにしないとチームが苦しくなる」。選手権後に3年生が受験勉強などで落としていたコンディションも少しずつ上がってきている。この日はっきりした守備面の課題を修正して、高校サッカーのスター軍団が「部活動の代表チーム」として欧州でその本領を発揮する。

(取材・文 吉田太郎)

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