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待望の初ゴールを挙げた甲府・高崎「続けたことが勝利につながった」

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[3.25 J2第5節 横浜FC 0-2 甲府 ニッパ球]

 継続は力なり。先制点を挙げたヴァンフォーレ甲府・FW高崎寛之の言葉からは、そんなキーワードが浮かんでくる。「前半、やり続けることができたことが大事だと思いました。前半がジャブになったから、相手のボランチの足も疲れて、後半はスペースができたと思います」。

 後方からのボールを高崎とFWダヴィの2トップが収めたところから、甲府の攻撃が始まる。そのまま2人がフィニッシュに持ち込めれば、それでいい。サイドにフォローが入り、そこにパスを出せる状況にあれば、2人のポストプレーヤーに相手を食いつかせて、サイドを使う。

 だが、当然このやり方を横浜FCも研究していた。「相手が裏のケアをしていたし、真ん中はボランチに消されていた」と、高崎も認める。実際、横浜FCのボランチを務めたMF八角剛史は、何度も高崎の前に立ちはだかった。前半16分、高崎は相手DFのミスからボールを奪って、シュートに持ち込んだが、八角にブロックされている。同20分にもポストプレーからMF柏好文のシュートを演出したときも、中盤で八角に潰された。

 それでも高崎は、相手が守備を固めるゴール中央のエリアから逃げなかった。駒大の同期でもある相手との対戦が「楽しかった」からだけではない。ダヴィとの距離感を意識しながら、常に相手の嫌がる位置へ入り込み、体を張り続けた。ある瞬間を狙い続けていた。「サイドにボールが入った時は高い位置を取ろうと思っていました」。

 そのときが訪れる。前半43分、右SBの福田健介がボールを持ったとき、高崎は前線へ動き出した。福田からロングボールが前線に送られてくると、ダヴィを警戒した横浜FCの守備陣が、183㎝のブラジル人に引き付けられた。その背後のスペースを逃さなかった。ダヴィが潰れると、ボールが流れた先に高崎がいた。

「どこが相手であっても、あそこ(ダヴィの背後)は危険なゾーン。そこを狙うことができました」と言う高崎は、ボールをしっかりと収めて、右足でシュートを決めた。

 コンビを組むダヴィがすでに5得点を挙げていたことで、多少の焦りもあっただろう。今季初ゴールに、喜びを爆発させた。祝福の輪の中では、ブラジル人FWにも声をかけられたという。「ダヴィも『おめでとう』と言ってくれましたよ」と笑い、「シーズンはまだ始まったばかりだから、次は2点目を目指したい。1点取ると気持ちはラクになりますね」と安堵の表情を見せた。

 後半にはダヴィもゴールを挙げ、2トップがそれぞれゴールを挙げた。初のアベック弾は、チームの勢いを加速させそうだ。「少し体が重い感じはしましたが、その中でもできることをやることが大事だと思うし、チームとしてすごく良い戦い方ができた。勝負パスのコースは消されていたけど、やり続けることが大事だと話していた」と高崎は、手応えを口にする。

 守備を固め、自分たちのやりたい形をつくらせてもらえない。そんな試合は、今後のリーグ戦でも数多くあるだろう。その際にどうすべきかが分かったという意味で、この試合は一つの指針となるはずだ。

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