[4.14 J1第6節 F東京1-2鹿島 味スタ]

　Jリーグは14日、J1第6節を各地で行い、3位FC東京はホームの味の素スタジアムに18位に沈む鹿島アントラーズを迎えた。MF遠藤康を中心に、前半から試合の主導権を握る鹿島は、後半に先制。一度は追いつかれたが、後半ロスタイムに遠藤が決勝点を決めて、2-1とし、鹿島がリーグ戦の今季初白星を挙げた。

　F東京の布陣は4-2-3-1。4バックは右から徳永悠平、チャン・ヒョンス、森重真人、太田宏介。中盤はボランチに高橋秀人と米本拓司が入り、2列目の並びは右から石川直宏、羽生直剛、谷澤達也。1トップにルーカスが入った。対する鹿島は、ジョルジーニョ監督が前節の浦和戦(1-3)でスクイズボトルを蹴り、第4審判員のベンチに当てたとして、ベンチ入り禁止。アイルトンコーチが指揮を執った。鹿島の布陣は4-4-2。DFは右から西大伍、岩政大樹、山村和也、新井場徹。中盤はボランチに梅鉢貴秀、青木剛、右に遠藤康、左に小笠原満男が入った。2トップは大迫勇也、興梠慎三。ベンチにアレックス、ドゥトラ、ジュニーニョの3選手が控える、和製イレブンで試合に臨んだ。

　最初のチャンスを得たのは鹿島。前半5分にF東京のバックパスがズレて、CKを得るとFW大迫勇也がヘディングシュートを放つが、ボールは右に外れた。その後もボールを回しながらも、なかなか流れの中から決定的な場面をつくれないF東京に対し、鹿島はMF遠藤康を起点にチャンスをつくる。

　同22分には遠藤のスルーパスからFW興梠慎三が最終ラインを抜け出す。飛び出してきたGK権田修一がボールをキャッチしたが、興梠と交錯し、右ヒザを打つ。権田は起き上がることができず、GK塩田仁史と交代を強いられる。

　鹿島は同31分にも遠藤から興梠のホットラインでチャンスをつくる。さらに同34分にも遠藤のスルーパスから抜け出した興梠がGKと1対1の場面を迎えるが、飛び出した塩田が顔面で防ぎ、失点を許さない。こぼれ球に大迫も反応したが、DFチャン・ヒョンスが体を張ってブロックした。その後も試合の主導権を握った鹿島だったが、決定機を生かせずに0-0のまま前半は終了する。

　後半に入って、最初のチャンスをつくったのはF東京。DF森重真人がパスカットから、右サイドでフリーになっていたMF羽生直剛に展開する。羽生が中央に入り、MF石川直宏にボールを落とす。石川が右足を振り抜いたが、シュートはGKの正面に入る。「DFはズルズルと下がらずに相手FWと駆け引きをすること」とランコ・ポポヴィッチ監督からの指示を受けたF東京DFラインは、全体がコンパクトになり、高い位置でオフサイドを取り、チャンスをつくるようになる。

しかし、鹿島も後半11分には大迫が高い最終ラインの背後を取り、ゴール前でボレーシュートを放つが、シュートは枠を外れて行く。同13分にはバックパスを塩田が手で扱ったと吉田寿光主審が判定し、鹿島にPA内での間接FKが与えられる。MF小笠原満男が転がしたボールを遠藤が狙ったがDFにブロックされた。鹿島に先制点が入ったのは、同21分。相手のパスをカットした遠藤が前線にボールを運び、前方の大迫にボールを送る。大迫の折り返しを中央に走り込んだ興梠が流し込み、待望の先制点を挙げる。

　同24分に両ベンチが動く。F東京はDF太田宏介を下げてMF田邉草民をピッチに送る。鹿島も興梠に代えてFWジュニーニョ、その1分後にはMF青木剛を下げて、DF昌子源を起用した。

　1点を追うF東京は28分に右サイドのクロスがゴール前に流れ、谷澤がフリーでボールを受けたが、シュートは大きく上に外れる。この直後にF東京ベンチは谷澤を下げて、MF大竹洋平を投入し、交代カードを使い切る。同34分には大竹のFKからゴール前で森重が合わせたが、シュートは左に外れた。

同36分にはF東京の米本が縦パスを入れる。FWルーカスが収めたボールをDF新井場徹が突つく。自ゴール方向に浮いたボールをGK曽ヶ端準がキャッチ。これがバックパスの判定となり、今度はF東京にPA内で間接FKが与えられる。このチャンスをF東京は生かす。ルーカスのシュートが壁に跳ね返ったところを田邉が押し込み、同点に追いついた。さらに攻勢に出るF東京は、42分にもカウンターから大竹、羽生とボールが渡り、羽生が左足でシュートを打つが、ゴールマウスを捉えられない。

　後半ロスタイム、鹿島は大迫に代えてMF増田誓志を入れる。その直後だった、ジュニーニョが左サイドを突破し、中央でシュートを放つ。GKが弾いたボールをゴール前に詰めていた遠藤が流し込む。試合終了間際のゴールで鹿島が今季初勝利を飾った。

(取材・文　河合 拓)