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[プレミアリーグEAST]ライバルの日本一が大きな刺激に!流経大柏が東京Vユース追い詰め価値あるドロー

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[4.15 プレミアリーグEAST第1節 流通経済大柏高2-2東京Vユース 流通経済大柏高G]

 高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグEAST第1節で昨年2位の東京ヴェルディユース(東京)と高校チーム勢最上位の5位だった流通経済大柏高(千葉)が激突。流経大柏が2度リードを奪った試合は後半ロスタイムにMF楠美圭史(3年)のゴールで追いついた東京Vユースが2-2の引き分けに持ち込んだ。

 1月、ライバルの市立船橋高の高校選手権優勝を悔しい思いで見つめていた流経大柏が巻き返しのシーズン初戦でV候補を追い詰めた。CF候補のFW真栄城兼哉と昨年の国体日本一メンバーであるMF桜井将司(ともに3年)が怪我のために不在だった流経大柏だったが前半3分、FW土井智樹が左サイドで相手のキックをチャージ。こぼれ球を素早く拾った土井のクロスをファーサイドから詰めたMF矢埜翔平が左足ダイレクトで先制ゴールを決めた。

 電光石火とも言える一撃でリードを奪った流経大柏に対し、富樫剛一新監督が「いい選手から11人選んだ」という東京Vユースはトップ下の11年U-17W杯日本代表MF中島翔哉をチャンスメーカー役に11年U-17W杯日本代表FW高木大輔(2年)、全てトップチームに2種登録されているFW前田直輝(3年)、FW菅嶋弘希(2年)が3トップに並ぶ強力な布陣。中島が再三バイタルエリアをドリブルで独走し、前田や右SB安西幸輝(2年)がドリブルで右サイドを破る場面があったが、流経大柏は児玉夏樹橋本直哉(ともに3年)の両CBが必死のディフェンスで渡り合う。また早い段階でロングボールを放り込み、セカンドボールの攻防戦で優勢に立っていたチームはオーバーペースに映るほど前線からプレッシャーを懸け続けて東京Vユースのリズムを崩すことに成功。15分に左CK後の混戦からMF武田将平(3年)が放った決定的な右足シュートが外れて2点目を奪うことができず、また相手の突破をファウルで止める場面も目立っていたが、それでも前半40分過ぎまでシュートゼロに封じ込んでV候補を苦しめた。

 ただ東京Vユースはファーストシュートで同点に追いつく。前半43分、右中間で得たFKを前田が左足でゴール左隅へ沈める鮮やかなFK弾。1-1で前半を折り返した東京Vユースは後半加速し、楠美とMF山口陽一朗(2年)の丁寧な組み立てから局面では強力攻撃陣が独力で打開を図る。また徹底してロングボールを放り込んでくる相手の攻撃を吉野恭平主将(3年)と畠中槙之輔(2年)の両CBがシャットアウト。試合の流れは自力に勝る東京Vユースへ傾いていた。

 だが本田裕一郎監督が「例年になくメンタリティーが強い」と評する流経大柏は勝ち越しに成功する。後半34分、交代出場の右SB日高貴裕(3年)の右FKをこの日打点の高いヘッドでインパクトを残していた橋本が左ポスト直撃のヘディングシュート。この跳ね返りを交代出場のFW星野秀平(2年)が左足で押し込んで2-1とした。

 流経大柏は昨年11月の全国高校選手権千葉県予選決勝では優勢と見られながらも市立船橋に延長戦の末に0-1で敗退。児玉は「(市立船橋の全国制覇を)テレビで見ていてとても悔しかった。今年は市船を倒して全国へ行きたい。スターはいないけれど、その分チームでまとまっている。高校相手では負けない」と言い切る。目標は全国制覇。4月1日から5日まで行った韓国遠征では強豪・城南一和天馬のユースチームとの練習試合で先制されながらも逆転勝ちするなど勝負強さを発揮している。

 本田監督が「最後切れちゃったね」と残念がったように、前半から飛ばしたことで終盤ガス欠。ロスタイム表示の3分台に突入した後半48分に東京Vユースの楠美のドリブルに距離を詰めることができず、最後はそのシュートがDFの足に当たってゴールへ吸い込まれるというアンラッキーな失点で引き分けに持ち込まれた。それでも左MF原島拓海や交代出場で大きな存在感を放ったMF猪股俊希(ともに3年)といったドリブラーをアクセントにしたダイナミックな攻守は今年も全国のライバルたちを十分に苦しめそうだ。

 一方、東京Vユースは富樫監督が「いつものボクたちじゃなかった。考えるスピードが遅かった。状況判断が良かったかというと物足りない」と振り返ったように初戦の緊張もあってか、局面で判断が遅れて苦しい戦いに。それでも指揮官が「いいときと悪いときの差が凄くて、いいときは大人ともやれるけれど、悪いときは大差で負けていた。(ロスタイムに追いつくことができたのは)選手たちがやり続けた結果だと思う」とキレずに戦い続けた選手たちを評価していた。実力は日本クラブユース選手権を連覇した昨年、一昨年と全くそん色ない。黒子役に徹するなど周りを活かすことのできる選手の台頭がVへの鍵となりそうだ。吉野は「昨年(最終節で)プレミアのタイトルを逃した悔しさをもっている。今年は全部取りたい」。強豪対決はドローで勝ち点1を分け合ったものの、互いに次につながる自信や勢いを得た開幕戦だった。

[写真]球際での激しい守備と運動量でV候補・東京Vユースを追い詰めた流通経済大柏(赤)

(取材・文 吉田太郎)
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