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浦和ファンの愚行に奮起。「絶対に勝とうと思った」大宮・下平

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[4.21 J1第7節 大宮2-0浦和 NACK]

 今シーズン、G大阪から大宮アルディージャに加入したDF下平匠にとって、ダービーでの2-0の勝利が、自身にとってもホームゲーム初勝利となった。試合を終えた下平は充実の表情を見せた。

 前半は浦和の攻撃を食い止めてから、スペースを見つけて効果的に攻撃ができた。特に左サイドは、ケガから復帰したMF東慶悟チョ・ヨンチョルの連係が機能し、好機をつくった。2点目のゴールを生んだのも、左サイドだった。後半27分、下平が起点となり、最終ラインの裏を取ったチョ•ヨンチョルにパスを出す。そこからのクロスが、FWラファエルのゴールにつながった。「ヨンチョルと慶悟をうまく走らせようと思っていました。前半は(浦和の)3バックのサイドをうまく使うことができました」と振り返る。

 しかし、後半は一変して浦和に押し込まれる展開になった。それでも、体を張った守備で凌ぎ切った。「DFとして無失点は良かった。前からボールを取りに行っても回されてしまうと思ったので、しっかりブロックをつくってうまく守れたと思います」と振り返るが、同時に課題も口にした。

「どの試合でも、ああいう展開になると苦しい。攻められる中でもチャンスをうかがえれば良かったけど、それができなかったのは反省点ですね」。ボールをつなぎ主導権を握って戦っていたG大阪時代とは、戦い方はまるで違う。それでも、チームに順応できている。

 今シーズンの大宮は、前半戦は素晴らしいプレーをしながらも、後半に失点を喫することが多かった。実際、今シーズンの11失点のうち、10失点が後半のものだ。この試合で相手に圧倒的にボールを支配されながらも、無失点に抑え切れた理由を聞くと、下平は試合前の出来事について語った。

「バスがスタジアムに着いたときに、浦和のサポーターにツバを吐きかけられたんです。大阪ダービーでも、そういうことはなかった。あれでみんなカチンと来て、『絶対に勝とう!』っていう雰囲気になりましたね」と苦しい展開でも、戦い抜けた理由を明かした。

 このダービーの勝利で、勢いに乗ることができるか。下平は「1勝して終わったらダメ。どう今後につなげていくか。また1週間準備して、次の試合に臨みたい」と言い、バスに乗り込んだ。スタジアムから出るパスを、大勢の大宮サポーターが、拍手と歓声で送り出していた。

(取材・文 河合 拓)

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