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ダービー敗戦の浦和・柏木「相手のやりたいことにハマった」

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 ボールを圧倒的に支配し、前後半を合わせて15本のシュート、15本のCKを得ながらも、浦和レッズはダービーで0-2と敗れた。後半30分、PA内に入ったMF阿部勇樹の動きを見逃さずに、縦パスを通して決定機をつくるなど、パスを散らしたMF柏木陽介は「もう少し攻撃に工夫が必要だった」と、悔しがった。

 立ち上がり、前半8分にMF曺永哲のゴールで先制される。そのビハインドを返しに前に出た力を利用されて、カウンターからピンチを招いた。ボール支配率では圧倒しながらも、前半27分にはFWラファエルに追加点を許してしまった。

 先制点の持つ意味の大きさを、あらためて噛みしめた。「相手のやりたいことに自分たちからハマってしまいました。自分たちでそうならないように持って行かなければいけなかったのですが…。(浦和の)負けパターンというわけではないと思いますが、失点したことで、一番やりづらい状況になってしまった。0-0ならチャンスがあるから、先制点については意識しないといけない。早い段階で失点をすると、苦しくなる」。

 大宮の選手たちも「先制点が大きかった」と口々に振り返ったが、リードを許したことで、浦和は攻めに出なければいけなかった。対する大宮は、まずは守備という考えを明確にできた。その上で、同点ゴールを狙って前に出てくる浦和の勢いを借り、カウンターを仕掛けられたのだ。

 ただでさえ、この日の大宮は浦和のパス回しを警戒していた。MFカルリーニョスは攻め上がりを抑え、守備的な役割に専念していた。「もっと前で展開するイメージだったのですが、マルシオとオレに付いてきていた」と柏木自身も、ピッチ上で実感していた。その相手がさらに守備に集中すれば、崩すのは困難になるのも当然だろう。

 今後も相手が、浦和対策として引いてくることも考えられる。そのときにどう攻略していくか。「中に、中に行き過ぎてしまったかもしれません。もう少しサイドを槙野(智章)とかが回って、サイドで2対1の局面をつくって、ボールを持った選手にドリブルとパスという選択肢を与えられれば、もう少し崩せたかなと思います。もう少しシュートで攻撃を負えるようにしたい」と話した。実際にパスミスから、空いているスペースにカウンターを仕掛けられ、前後半で1度ずつゴール前で3対2のピンチを招いている。攻撃をどうやって終えるかは、今後の大きな課題だろう。

 また、セットプレーも打開策の一つになるだろう。この試合でもシュートやパスに対して懸命に体を張ってブロックした大宮から、前後半で計15本のCKを得ている。しかし、いずれも得点にはつなげられなかった。「オレが良いボールを上げられなかったけど、工夫しないといけない。ただ、今日は駄目だったけど、CKからゴールが取れていないわけではないので続けてやっていきたい」と話し、大きな問題はないことを強調した。

 さいたまダービーに敗れたが、必要以上に落ち込んで、敗戦を引きずることを柏木は嫌った。「ダービーですが、34分の1だと考えて切り替えたい。次のダービーはホームですし、勝ちたい。そのときも上位で迎えられるようにしたいと思います。次の試合も、相手に食いついていかないといけない」と、次節の名古屋戦(28日)を見据えた。

(取材・文 河合 拓)

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