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初の合宿を終えた磐田・山田「世界をイメージして戦う」

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 25日に行われた明治大との練習試合を終え、1本目に出場した日本代表FW山田大記は、3日間の合宿を終え「すべてが新しいことでした」と、充実の表情を浮かべた。

 今シーズン、プロ2年目を迎え、所属するジュビロ磐田では開幕から7試合にフル出場し、2得点と中心選手として現在3位のチームをけん引している。その活躍を評価され、今回の代表に選出されたが、自身ではそれほどアピールできなかったと振り返る。

「アピールは、あまりできなかったというか。監督もチームのスタイルを理解することを一番の目的に掲げていたので、個人的には理解できたので収穫もありました。短い期間ですし、もちろんもう少しインパクトを残せればよかったと思います」

 同じく初招集のMF高橋秀人も「駒になることを求められている」と印象を語ったように、今回の代表合宿では、選手の個々の特徴を見ることではなく、やり方の統一が求められた。本人はアピールできなかったと振り返るが、3-4-3の習得という点では、山田は大きな手ごたえをつかんだ。

「もともとやったことがなくて、最初のイメージがなかったので、言われたことに抵抗もなく『あ、そうなんだ』という感じで受け入れられましたし、戸惑いもありませんでした」と話す。とはいえ、「まだ(イメージはあっても)体は動けていない部分もありました」と言う。

 アルベルト・ザッケローニ監督は、WGはサイドに張ることを選手たちに要求した。ただし、左右のWGがサイドに張り過ぎた結果、WBが侵入するスペースがなくなった。さらに中央でボールを保持するボランチの選手からの距離も、遠くなったため、MF中村憲剛やMF{+柏木陽介}}らがパスの出しどころに困り、相手に背後からボールを突かれるシーンも見受けられた。実際に山田も「もう少し中に入った方がいいかな」と感じたことを認めたが、それでもサイドに張り続けた理由を説明する。

「スタートポジションはサイドに取るっていうのが、監督のやろうとするサッカーです。練習後に監督も『国内ではなく、世界で戦うときに、攻撃をスピードアップさせるためにあそこのポジションを取らせている』と言っていました。確かに、今日の大学生が相手であれば、ずっと中にいても、最初から中にいてもうまくできていたと思うのですが、世界を見るということで、外にポジションを取れと言っていたと思うので、今後もその意図を感じ取りながらやりたいなと思います」と、ミランやユベントス(ともにイタリア)という世界に名を知らしめるメガ・クラブでも指揮を執ったザッケローニ監督への信頼を口にした。

「まだまだ僕は監督のサッカーを理解するところから入らないといけない」と言う一方で、個性を出していくことの重要性も感じ取った。ヒントとなったのは、後半右WGにはいった清武弘嗣のプレーだった。時折、中央に絞ってWB酒井宏樹の攻め上がりをうながした清武は、確かに右サイドの攻撃を機能させていた。

「監督から(清武)は『もっと外に張れ』とも言われていた気もしますが、キヨみたいにチームとして崩すところでの個性の出し方を学んでいきたい」と、1歳下の代表における先輩から、刺激を受けた。「まずはチームに帰って、もう一回呼んでもらえるように頑張ります」と意気込みを語る。3日間という短期間ではある。それでも、ザッケローニ監督を通じて世界を感じ、チームメイトからも刺激を受けた山田は、再び代表に選ばれるという強い意欲を持ち、再びJの舞台で大暴れするはずだ。
(取材・文 河合拓)

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