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[プレミアリーグWEST]「最後に1番になる」昇格即優勝へ神戸U-18が東福岡に6発大勝

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[5.6 プレミアリーグWEST第5節 神戸U-18 6-0東福岡高 いぶきの森]

 高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグWESTは6日、第5節を行い、4位・ヴィッセル神戸U-18(兵庫)対8位の東福岡高(福岡)戦は神戸U-18が6-0で快勝。順位を2位へ上げた。

 4月28日の広島ユース戦を3-4で落とし、5月3日の福岡U-18戦は2-2でドロー。加えてU-19日本代表CB岩波拓也が広島ユース戦のレッドカードによって出場停止という状況。チームとしての流れが悪く、大黒柱も欠く苦しい中で迎えた一戦だった。ただ野田知監督が「タッチ数が多く、パス、ゲームのテンポが遅くなっていた。もう一回原点に返り、目指していることを再確認したことがいい方向へ向かった」という神戸U-18は、自分たちのサッカーを取り戻して勝ち点3を獲得した。

 序盤こそなかなか決定打を放てずにいたが、1年生FW中島賢星を1トップに起用する4-1-4-1システムの東福岡の中盤の守りの薄さを突いて司令塔のMF前田凌佑(3年)が高い位置でパスワークに絡むと、怪我から復帰したトップ下のMF和田倫季(3年)が高い技術で確実にボールをおさめてゴールへチャレンジする回数を増やす。そして少ないタッチ数でボールを動かす相手に対してプレッシャーがかからず、後退せざるをえなくなった東福岡を押し込んだ神戸U-18は、PAで“神戸のメッシ”ことFW松村亮(3年)の個人技が炸裂する。

 19分、バイタルエリアから仕掛けた松村がPAへ飛び込むと右足を一閃。これがシュートコースを塞ごうとしたDFに当たってコースが変わり、そのままゴール右隅へと吸い込まれた(記録はオウンゴール)。さらに23分には右サイドで正確かつシンプルにボールを動かすと、スペースへ飛び出した松村からの折り返しをMF鶴崎光(3年)が右足でゴールへと流し込んで2-0。狙い通りの攻撃で2点目を挙げた神戸U-18の攻勢は止まらない。25分には右中間でボールを持った和田が、ゴール右上へ豪快な右足ミドルを叩き込んで3点差へと広げた。

 一方、3月のサニックスカップ国際ユースサッカー大会で神戸U-18に2勝して優勝している東福岡は、右サイドのU-18日本代表MF福本将也(3年)にボールを集め、そのドリブル突破から活路を見出そうとする。26分には右サイドを突いた福本を起点にSB矢田康介(3年)の右クロスをMF草野昂希(2年)が決定的なヘディングシュート。39分には交代出場MF阿部敬太(2年)がペナルティーアークでマークを外して放った左足シュートがゴールを捉えた。だが、これを神戸U-18GK辻本魁人(3年)の好守に阻まれると、43分に福本が右サイドを独力で打開するもゴールにつなげることができない。

 後半は神戸U-18の一方的な展開となった。前田と注目の1年生MF中井英人の両MFが少ないタッチ数で自在にボールを動かすと、右の鶴崎、左SB山口真司(1年)の両翼が高い位置で起点となって圧力をかける。そしてPA付近では和田、松村、FW内田祐介(3年)のトリオが面白いようにボールをつないで決定機をつくり続けた。6分には和田とのワンツーでディフェンスラインの背後へ飛び出した松村が、左サイドから中央へ頭でラストパス。これを内田が右足でゴールへと押し込んだ。

 東福岡は13分に主将の徳市寛人(3年)が2枚目の警告を受けて退場。10人になった相手を容赦なく攻め立てる神戸U-18は、25分にPAで右サイドから中央へ流れながらDF2人のマークを外した松村が左足で5点目をゴールへ沈めると、30分にも松村がPAでの連続の切り返しからDFの股間を射抜く右足シュートで6点目を奪い、ゴールラッシュを締めくくった。

 前節の富山一高(富山)戦(2-5で敗戦)と合わせて2試合で11失点を喫している東福岡の福本は「サニックスでは前からガンガン行けていたけれど、プレミアは90分間ということで(体力面を考えて)みんなで行くことができず、(押し込まれて)リトリートしたようになってしまっている」と問題点を指摘。一方、大勝で悪い流れを断ち切った神戸U-18の前田は「サニックスで2回やって2回負けていたのでモチベーションも高かったと思います。相手は退場したし、少ないタッチで回せました。ところどころで持ちすぎたところあったですけど、テンポ良く回せた時間帯もあったので良かったです」と納得の表情を見せていた。

 神戸U-18は5試合を終えて首位・広島ユースと勝ち点2差の2位。岩波、松村に加えてCB佐古将太(3年)ら他にも攻守にタレントが揃っており、プレミア昇格1年目での優勝も十分期待できる。前田は「これから長く続くので全部落とさないようにします。みんな上手いのでやれるのでいいですけど、もっと自信もってやること。チームワーク良くやったらこのチームは強くなる。狙える力はあると思う。その力を常に100パーセント出せるようにしていかないといけない」と引き締めた。そして松村は「これ(東福岡戦)が始まり。まだ1位じゃないんで、上追いかけて逆転して、最後に1番になる。最後に1番になったチームが一番強いと思うので、そこで全部のタイトルを獲りにいきたいです」。気持ちの面で緩んでしまうことが欠点のひとつ。ただイレブンは全員で引き締めて、期待に応えて必ず「最後に1番になる」。

(取材・文 吉田太郎) 
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