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今季5敗目を喫した東京V・西「負け過ぎ」

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[5.13 J2第14節 東京V0-1岡山 味スタ]

 試合を終えてミックスゾーンに現れた東京ヴェルディのMF西紀寛は「自分のせいです。チャンスで決めていれば良かった」と唇を噛んだ。ホーム・味スタで負けたことのなかったファジアーノ岡山に黒星を喫し、連勝が2で止まった。

西が悔やんだのは後半4分の場面だった。右サイドからDF森勇介が折り返したボールをゴール前で合わせたが、シュートはサイドに流れて行く。この立ち上がりのチャンスを逃した東京Vは徐々に運動量も落ちると後半36分にはカウンターから失点を喫し、0-1で敗れた。

「負け過ぎ。負けたくないと思えば思うほど、動きが悪くなっていく」と西は言う。前半はボールを回し続け、シュート数でも6対1と相手を大きく上回ったが、GK柴崎貴広は「前半は相手が攻めてこなかったし、もっと打てたと思う。前半から仕留めないと、こういう結果になる」と言えば、西も攻撃に工夫が必要だったと同調する。「ボールを回しているだけだった。一枚、PA付近で構えてボールを受ける選手がいなかった。(小林)裕希と阿部(拓馬)ちゃんはそういうタイプではないので、オレがやればよかったのかな」と首を傾げた。

試合を通して、右サイドのクロスから何度かチャンスはつくった。西も「右サイドから崩せていたので、もっと(森)勇介の方からクロスを上げればよかった」と言う。しかし、この試合ではFW巻誠一郎、FW杉本健勇という高さのあるFWはベンチにいたため、単純に中で競り勝つのは難しかった。サイドから低いボールを入れても、中で人数が足りていないため、ボールが逆サイドに流れる場面も散見した。「クロスに人が足りないのは、いつものことだから」と言う西は、他にもチームの問題点を指摘する。

「このチームは変な落ち着きが、ある。裏に抜けても走るタイミングが悪いのか、ボールが出てこない。リスタートを早くしていればチャンスになる場面でも、審判に文句を言ったりして動き出しを見ていなかったりする。他にも梶川が走っているのに、シュートを打っている選手がいたりしたけど、ああいう場面でも『(梶川が)叫ばないとシュートを打っちゃうよ』と言っているけど、叫ばない」と、ボールを持っている選手が周囲を見ることだけでなく、ボールを受ける選手が要求するなど、もっと意思疎通を図る必要性を語った。失点も、東京Vのセットプレーからのカウンターで招いたものだ。「ああいうときは、どこに蹴るかを決めておいた方がいいかもしれない」と西は言う。

 優勢に試合を運んでいたように見えても、ピッチ上の選手たちは多くの問題に直面していた。これを解決していかなければ、上位にとどまることは難しい。「いつも同じサッカーをできないと優勝はできない。危機感を持ってやらないと落ちて行くのは簡単だから」と柴崎は警鐘を鳴らす。3試合ぶりの黒星は、J2優勝を目指すチームに大きな宿題を残している。

(取材・文 河合 拓)

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