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F東京が渡邊のハットトリックで、リーグ最少失点の鳥栖に逆転勝利!!

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[5.20 J1第12節 F東京3-2鳥栖 味スタ]

 J1は20日、第12節2日目を行ない、FC東京はホームの味の素スタジアムにサガン鳥栖を迎えた。ともに昨季はJ2で戦っていたが、F東京は6勝4敗で6位、鳥栖も4勝5分2敗で7位と、上位争いを繰り広げている。試合は前半42分に鳥栖が電光石火のカウンターからMF水沼宏太のゴールで先制した。後半に入っても押し込むF東京から追加点を挙げた鳥栖。リーグ最少失点の鳥栖が、このリードを守り切るかと思われたが、ここからF東京の猛反撃が始まる。途中出場したFW渡邉千真がハットトリックを達成し、試合をひっくり返した。その後も人数を掛けて攻めたF東京が、3-2と逆転勝利で今季リーグ戦2度目の3連勝を飾った。

 F東京は4-2-3-1の布陣を採用。最終ラインは右からチャン・ヒョンス、徳永悠平、森重真人、椋原健太。ボランチに米本拓司と高橋秀人が入り、2列目は右から長谷川アーリアジャスール、梶山陽平、谷澤達也。1トップにルーカスが入った。対する鳥栖は4-4-2。最終ラインは右から丹羽竜平、小林久晃、キム・クナン、呂成海。ダブルボランチに藤田直之と岡本知剛が入り、中盤の右に水沼宏太、左に金民友が入る。2トップはやや引き気味に池田圭、その前に豊田陽平が入った。

 立ち上がり、試合の主導権を握ったのは鳥栖だった。高い位置でのプレスがはまり、F東京にボールを運ばせない。前半6分にはCKの流れからFW池田圭がゴールネットを揺らしたが、オフサイドと判定され、得点は認められなかった。同9分にも鳥栖は高い位置で相手のパスをかっとし、池田がシュートを打ったが、枠に飛ばせない。

 ホームのF東京も12分にはロングボールをPA内でMF長谷川アーリアジャスールが受け、同じくPAに走り込んだMF高橋秀人にパス。決定的な場面だったが、高橋のシュートはゴールの左に外れて行った。

 だが、その後も狙い通りに戦えていたのは、鳥栖だった。同16分には後方からのロングボールを受けた水沼が、即座にゴール前に長いパスを入れ、MF金民友のシュート場面をつくる。その2分後にも鳥栖はDF呂成海のパスかを受けた池田がドリブルを仕掛けてシュートを打つが、これも左に外れてしまう。

 決定機を生かせないことで、試合の流れは徐々にF東京に移る。前半23分には左サイドでMF谷澤達也が縦パスを入れる。ボールを受けたDF椋原健太がゴール前に折り返したボールをMF梶山陽平がシュート。しかし、ボールは左ポストに嫌われた。その後もボールを握るF東京だが、決定的な場面はつくれない。

 逆に42分、先制したのは鳥栖だった。中盤でF東京のパスワークにミスが出ると、金民友がボールを奪ってドリブルを仕掛ける。対応しようとしたDF徳永悠平と高橋が交錯したことで、F東京の守備が後手になると、右サイドを攻め上がった水沼にパス。水沼が強烈なシュートをニアサイドに突き刺して、1-0と鳥栖が先制して前半を折り返す。

 後半に入るとビハインドを背負ったF東京の攻撃のテンポが上がる。後半8分にはCKからの波状攻撃から、最後はDF森重真人がゴールを狙ったが、ボールは左に外れて行った。同9分にF東京のランコ・ポポヴィッチ監督は、DF{{チャン・ヒョンス}}、谷澤を下げて、MF石川直宏、FW渡邉千真を送り込み、高橋を最終ラインの中央に入れた攻撃的な布陣に変更した。 対する鳥栖もFWの池田を下げて、MF早坂良太を送り込み、中盤を分厚くした。

 後半14分、この試合の2点目を挙げたのは鳥栖だった。FWルーカスの横パスをカットすると、右サイドに展開。水沼が縦にボールを運び、PA内のファーサイドに走り込んだFW豊田陽平にクロスを送る。これを豊田が体を張って押し込み、鳥栖がリードを広げた。

 リーグ最少失点を誇る鳥栖に、致命的と言える2点目を与えてしまったF東京は、後半23分に米本を下げて、MF河野広貴をピッチに送る。後半26分に鳥栖の尹晶煥監督はMF岡本知剛に代えて、DF登録の犬塚友輔を起用した。

 F東京はPA内までボールを運ぶものの、体を寄せてくる鳥栖の守備を前に、フィニッシュが打てなかった。攻め続けたF東京は、後半30分に1点を返す。右サイドの石川の折り返しをゴール前で受けた渡邉が蹴り込み、1点差に戻した。勢いづいたF東京は33分から3本のCKを連続で獲得し、チャンスをつくり出す。

 一息つきたい鳥栖は34分にMF藤田直之を下げて、MF黒木晃平を投入した。しかし、その直後だった。PA内でルーカスが高く浮かせたクロスを逆サイドに走り込んだ徳永が折り返す。そこに渡邉が詰めて、2-2と試合を振り出しに戻した。そしてクライマックスは後半42分、右サイドのFKを石川が挙げると長谷川がニアで流し、中央にいた渡邉の顔面に当たり、ゴールに入った。今季、最多2失点しか喫していなかった鳥栖から3点目を挙げて試合をひっくり返した。

 リードを奪ったF東京は、その後も攻め続ける。その結果、鳥栖がカウンターに出ようとしても、長い距離を走らなければいけないため、前線での人数がそろわずに、決定的な場面はつくれなかった。結局このまま試合は終了。途中出場した渡邉の大活躍で、3-2と試合をひっくり返した。

 ハットトリックを達成した渡邉は「前半からリズムが良くなくて、自分が出たら何とかしようと思っていた。みんなあきらめていなかったし、サポーターもあきらめていなかった。その期待に応えられてうれしいです」と笑顔を見せた。

(取材・文 河合 拓)

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