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ドイツ2冠の香川が“凱旋弾”、「すべてがイメージどおりにいった」

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[5.23 キリンチャレンジ杯 日本2-0アゼルバイジャン エコパ]

 “凱旋試合”を自らの祝砲で飾った。日本代表FW香川真司(ドルトムント)は前半42分に先制点。MF長谷部誠のスルーパスに反応し、PA内左に走り込むと、後方からチェックに来たDFを鋭い切り返しでかわし、右足でファーサイドに流し込んだ。

「すべてがイメージどおりにいったので、よかったと思う」。そう自画自賛した鮮やかな一撃。「(DFが)相当、食いついていたので、かわせればフリーになると思っていた。相手が食いついていたのは見えていたし、あそこに蹴ろうと思っていた。それがうまくいった」と振り返った。

 ドルトムントでブンデスリーガ連覇に貢献し、ドイツ国内杯との2冠を達成した。今オフにはプレミアリーグへの移籍も確実とされる。世界で飛躍を続ける背番号10が、国内では約3か月ぶりとなる公式戦で3万人を超える観衆を熱狂に包み込んだ。

 ドルトムントで務めるトップ下ではなく、左サイドでの先発。「自分は動きの中からプレーするタイプだけど、監督からは『サイドに張っていろ』と前半から言われていたし、得点シーンもそういう形から生まれたので、そこはうまく使い分けながらやりたい」。そう前向きに話す香川は「スペースがあれば張っていてもいいと思うけど、次の試合はスペースが消されると思うから、そうなったときの使い分けを自分で判断してやっていく必要がある」と、6月に開幕するW杯アジア最終予選を見据えた。

 ザックジャパンでは、抜群のキープ力を誇るMF本田圭佑(CSKAモスクワ)がトップ下に君臨する。それは一つの大きな武器であり、約9か月ぶりに代表に戻ってきた本田を含めた攻撃陣のコンビネーションが高まれば、日本の攻撃はさらなる高みに達するはずだという期待感もある。

「(本田が)あそこにいると強いし、2、3人引き付けてパスも出せる。こっちも見てくれるし、あそこでどんどんパス交換しながら、もっと崩しにかかるシーンが増えてもいいと思うし、そこにプラスアルファで3人、4人が絡んでくれば、さらにいいサッカーができると思う」

 本田との連係に手応えを口にする香川は「次の試合は3人目、4人目がいかに絡んでいくかが課題になってくる。(本田)圭佑くんが絡んでくるといいけど、さらに1トップだったり、ボランチが絡んだり、もっと全員が絡んでいかないと。2人だけの関係では絶対に崩せない」と、チームとしての課題も口にした。

「裏を取れたら一番ゴールに近くなるし、ペナルティーエリアでボールを受けられれば、さらにチャンスにつながる。もちろん相手のラインが高かったからこそできたことだし、次の試合はおそらく引いて守ってくると思うので、ペナリティーエリア内のスペースはないと思う。そういう意味では一瞬のチャンスで決め切れるようになることが課題になってくる」

 この日が国際Aマッチ出場30試合目。釜本邦茂氏に次ぐ史上2番目の早さで国際Aマッチ10点目を記録した香川だが、親善試合の結果に一喜一憂することはない。本番はあくまで6月に始まるW杯アジア最終予選。「もっとよくなると思うし、時間をかけてチームをつくる機会なので、試合を経るごとによくなると感じている。そのために今日出た課題を話し合いながら、それを練習や試合でもっとやっていく必要がある」。最終予選の行方を占う大事な3連戦。ブラジルへの道を切り開くためにも、1日1日、一戦一戦を大事に戦っていく。

(取材・文 西山紘平)

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