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“代役CB”渡部が値千金ヘッド、「最後においしいところを…」

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[1.1 天皇杯決勝 G大阪0-1柏 国立]

 ラッキーボーイの一発で柏レイソルが天皇杯を初戴冠した。前半35分、MFジョルジ・ワグネルの左CKからニアサイドに飛び込んだDF渡部博文が強烈なヘディングシュート。準決勝で負傷したDF近藤直也に代わって先発出場した代役CBの一撃が優勝決定弾になった。

「決めることしか考えてなくて、頭を突き出しました。ネルシーニョ監督にも『渡部はシンプルにニアで競るように』と言われている。下手な駆け引きはせずにゴールを狙おうと思った。狙いどおりのゴールを決められた」

 昨季、期限付き移籍でプレーしていた栃木ではJ2で3ゴールを挙げているが、柏ではリーグ戦、ナビスコ杯、ACL、天皇杯を含めても公式戦初ゴール。先発出場自体、9月5日のナビスコ杯・鹿島戦以来、約4か月ぶりだった。

「今までの試合に出られない日々も、つらい時期も、がんばってきてよかったと素直に思う。今まで自分はタイトルを獲ったことがなくて、(10年に)柏がJ2で優勝したときも自分は試合に出ていなかった。決勝に出て、タイトルを獲れたことは自信になる」

 12月29日の準決勝・横浜FM戦で近藤が負傷し、後半45分から渡部が途中出場した。その翌日にネルシーニョ監督から決勝で先発起用する考えを伝えられた。「ケガ人が出ながら、累積警告で出場停止になる選手がいながら、決勝までつないでくれた選手がいた。その人たちのためにがんばろうと思った」。本職の守備でもG大阪の攻撃を完封。J1でリーグ最多の67得点を記録した攻撃陣に対し、「気持ちで戦った」と、体を投げ出して跳ね返した。

「最後においしいところを持っていったけど、ここまで連れてきてくれたのは近藤さんや(決勝が出場停止だった)工藤らみんなのおかげ。結果が求められる決勝でゴールを決められてよかった」。元日決戦で誕生したヒーローはチームメイトに感謝し、2013年最初のタイトル獲得を謙虚に喜んだ。

(取材・文 西山紘平)

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