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“グッドルーザー”法政大、ただ欲しかったのは労いの言葉より結果…「評価は勝つことでしか得られない」

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法政大は惜しくも16強で姿を消すことになった

[9.18 天皇杯4回戦 甲府2-1(延長)法政大 中銀スタ]

 東京ヴェルディやガンバ大阪を連破してきたからといって、決して慢心があったわけではない。ただ隙をみせてしまった。法政大は延長後半3分、相手FKに対して注意力が散漫となったことで守備が後手に回ってしまう。FKを蹴ったDF山本英臣も法大の選手の集中力が切れていると感じたと振り返る場面。MF森俊貴(4年=栃木ユース)は「そこがプロとアマチュアの選手の違いなのかな」と悔しさを噛みしめる。

甲府守備陣を翻弄したMF紺野和也

 MF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)は試合序盤からJクラブ相手にも全く引けを取らない、むしろ翻ろうするようなプレーを見せていた。右サイドから中央にドリブルで切り込んだかと思えば、絶妙なスルーパスで決定機を演出。後半33分の同点弾の場面では、森の頭にピタリと合わせるクロスでアシストを記録した。

 試合後、引き上げてきたベンチで一番最後まで立ち上がれなかったのが紺野だった。「モチベーションは凄く高かった」。気持ちの切り替えが難しいとも話すが、週末には関東リーグの試合もやってくる。現在7位とインカレ出場圏外にいるだけに、「去年の(インカレ)決勝で先輩のレレ(ディサロ燦シルヴァーノ)が決めてくれて、(天皇杯に)自分たちが出られるようになった。自分たちも後輩にいい置き土産がしたい」と気持ちを奮い起こす。

試合後、しばらく立ち上がることができなかったDF加藤威吹樹

 主将DF加藤威吹樹(4年=広島ユース)は「誰よりもこの試合に気持ちを入れていた」と自負していた。今夏はコンディションを崩したことなどから、総理大臣杯を欠場。裏方に回る日々を過ごしたことで、約1か月ぶりの実戦のピッチになっていた。

「チームに迷惑をかけてしまった」と恩返しの強い気持ちを持って臨んだ試合だったが、2失点して敗戦。これまで3試合を無失点で勝ち上がってきていたことによる「過信が隙を作ってしまった」と悔やむが、「結果的にあの1点で負けちゃっているので、チームして突き詰めて行かないといけない」と肥やしにすることを誓う。

 惜しかったね。強かったね。頑張ったね。そんな言葉が法政大にはかけられるだろう。ただチームとして何よりも求めていたのは「結果」。長山一也監督が「本当の評価は勝つことでしか得られない」と語ったように、さらに上を見据えていたからこそ、天皇杯16強という結果で満足することはない。「大学サッカーの価値」を上げる、そして存在意義を示すための戦いは来年度以降へと続く。

長山一也監督は「選手はよく頑張った」と評価していた

(取材・文 児玉幸洋)
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