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ドイツ帰りの価値を示した酒井高徳「神戸にとっても自分にとっても初タイトル」

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自身初のタイトルを獲得したDF酒井高徳

[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 ドイツ帰りのこの男の存在も大きかった。天皇杯優勝でクラブ初のタイトルを獲得したヴィッセル神戸。今夏、ハンブルガーSVから7年半ぶりのJリーグ復帰を果たしたDF酒井高徳は加入半年でタイトルを獲得し、「神戸にとっても自分にとっても初のタイトル」と喜びをかみ締めた。

 その類まれなコミュニケーション能力で自身の経験をチームメイトに伝え、ピッチ上のパフォーマンスでもチームを牽引してきた。その存在についてトルステン・フィンク監督が「(酒井は)ドイツ語ができるので、ダイレクトでコミュニケーションを取れるのが大きい」と指摘すれば、左サイドで縦関係を組んだFW古橋亨梧も「しゃべってくれるので後ろを気にせず前に行けるし、後ろからの声で止まったり、だんだんそれが感覚でできるようになった」と感謝する。

 12年からドイツでプレーしてきた酒井は神戸復帰を発表する前から「20歳でドイツに来たけど、移籍する前も新潟で試合に出ていたとはいえ、それほど活躍していたわけではなかった。Jリーグに残したものがないと思っているし、Jリーグで活躍していなかった自分がいるからこそ、Jリーグでも活躍したいという気持ちは持っている」と、その思いを打ち明けていた。

 日本復帰は簡単な決断ではなかったが、Jリーグで活躍する、神戸でタイトルを獲得するという新たなチャレンジを求め、7年半ぶりに帰ってきた。「去年は個人的にいいサッカー人生を歩めなかった。求めていた目標を今日一つ叶えられたことは個人的にもうれしく思うし、これを大事にして来季も戦っていきたい」。ドイツでの最後のシーズンは1部昇格を逃した戦犯扱いされ、最終節でブーイングを浴びる経験もした。酸いも甘いも知り尽くした28歳にとって初めての戴冠。2020年を最高の形でスタートさせた。

(取材・文 西山紘平)

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