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東京Vは天皇杯8強敗退、悔しさをにじませた城福監督と選手たち「J1相手にやれた手応えがあるが…」

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東京Vは天皇杯4強ならず

[9.7 天皇杯準々決勝 京都2-1東京V 味スタ]

 東京ヴェルディは川崎フロンターレやジュビロ磐田を破る快進撃を続けたものの、準々決勝で京都サンガF.C.に敗戦。2004年以来のベスト4進出とはならなかった。攻撃の形は作ったものの、得点にはつながらず。城福浩監督は「悔しいの一言です」と振り返った。

 序盤からボールを握った東京Vは、前線に早くパスをつなぎ、攻勢を強める。しかし、それを決め切ることができなかった。一方、京都は数少ない決定機をスペシャルな選手に決められる。前半21分、後半8分とFWパウリーニョに2失点を喫した。後半45分に敵陣内に押し込んだところをDF谷口栄斗のゴールで1点を返すが時遅し。1-2で試合は終了した。

 城福監督は「悔しいの一言です。いま選手がやるべきことはやってくれたと思います」と語る。攻撃の形は作ったが決定機自体は少なく、一方で相手に少ないチャンスを決められた。「悔やむべきは失点の二つのシーン。チームとしたら、トータルで何回ペナに進入されたか2失点以外は思い出せない。そして、1点を返すタイミングが遅すぎた。もっと早くネットを揺らしていれば、少なくとも延長には持ち込めたと思います。選手は、チームとしてやれることを今日はやった。負けには値しない試合をやった」。

 MF森田晃樹は後半から出場。巧みな突破でチャンスを作ると、後半45分にはPA右の深い位置まで潜り込み、谷口のゴールを演出した。「いろんな人が動いてやっといい攻撃になる。ああいう形で点を取れたのはよかった」と手応えを語る。J1勢を倒してベスト8まで勝ち進んだ。「いい勝負をしたというのはチームにとってプラスになるし、自信になったんじゃないかなと思います」。結果に満足せず、悔しさをにじませながらも、今後につなげていくつもりだ。

 一方、悔しさを前面に出したのはDF山口竜弥。後半10分から出場すると、左サイドから持ち味の攻撃力を発揮する。鋭い突破からのクロスを連発し、精度の高いキックはセットプレーの武器にもなった。敗戦後、サポーターへの挨拶では涙を流す姿も。「本当に悔しすぎて頭が真っ白になった」と胸中を明かす。

「サポーターに挨拶したとき、拍手で迎えてくれた。拍手してもらえたことはうれしかったんです。だけど負けたのに拍手だったのが、自分たちが下と認めているような感じがしてしまって……おれはもっとヴェルディが強くなければいけないと思っているし、もっとやれると思っている。自分たちの今までしてきた積み重ねが、きょうの負け試合でさえ健闘になってしまう。健闘していたと思われてしまうことがすごく悔しかった」

 城福監督は「勝つことしか考えていなかったので、なかなか振り返るのは難しい」と敗戦を飲み込めず。「J1を相手にやれたことはたしかな手応えとしてありますけど、われわれの世界は勝たないといけない。なんとしても、このサッカーを続けて次のリーグ戦では勝たないといけないという思いは強いです」。快進撃の熱は雨とともに冷めた。手にした感触を忘れる前に、再びリーグ戦に向かう。

(取材・文 石川祐介)
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