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ルーキー離れした存在感も涙の準優勝…PK失敗悔やんだ広島MF満田誠「まだまだ未熟」

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サンフレッチェ広島MF満田誠がPK失敗

[10.16 天皇杯決勝 甲府 1-1(PK5-4)広島 日産ス]

 PK戦の末に敗れた天皇杯決勝の試合後、サンフレッチェ広島MF満田誠の涙は止まらなかった。「責任をすごく感じるし、こういった悔しい経験はサッカーでしか返せない。失ったものはもう得ることができない」。ルーキーイヤーで味わったカップファイナル敗戦の悔しさを胸に刻んだ23歳は「これから獲得できるものを獲得するために全力を尽くしていきたい」と決意を示した。

 3-4-2-1の左シャドーで先発出場した満田は後半途中からボランチの一角でプレー。二つのポジションで時間を追うごとに凄みを増し、プロ1年目であることを抜きにしても圧巻と言うべきパフォーマンスを見せていた。

 しかし、求めていた結果は得られなかった。1-1で迎えた延長後半11分、自らのパスで相手のハンドを誘って獲得したPK。「自分がPKを獲得したし、得点を取りたかったので、自分で蹴ろうという思いで蹴った」。強気な姿勢でキッカーを務めたが、左を狙ったシュートは相手GK河田晃兵に阻まれ、勝ち越しのビッグチャンスを逃した。

 チームはそのまま迎えたPK戦で敗戦。クラブ史上初の天皇杯制覇にあと一歩のところで届かなかった。「延長であのチャンスを決め切れていればたぶん勝っていたと思う。あそこを決め切ることができなかったのがシンプルに自分の実力不足」。敗戦の責任を背負った満田は「もともと下に速いボールを蹴ろうと思っていたけど、思ったよりボールに力が伝わらなくて止められた」とPKのシーンを悔やんだ。

 もっとも、カップ戦決勝という大舞台で経験豊富なFWナッシム・ベン・カリファやFWピエロス・ソティリウを差し置いてキッカーを務めた信頼感はルーキー離れしており、その立場はミヒャエル・スキッベ監督にPK戦の5人目キッカーとして指名されたことにも表れていた。試合中にはPKを止められた満田だが、PK戦では逆のコースに蹴って見事に成功。「チーム全体で自分を後押ししてくれたし、期待に応えないといけないと思っていた」と度胸が光った。

「チームメートやスタッフからすごく信頼されているのを自分で感じるし、だからこそあの場面でしっかりと決め切りたかった。まだまだ自分も未熟だと感じたし、実力もまだ足りないと感じた。これから試合を重ねるごとにもっと存在感を出して、チームメートからの信頼を得ていければ」

 そんなリベンジの機会は22日、1週間後にやってくる。今度はルヴァン杯の決勝でセレッソ大阪と対戦。「もちろん悔しいし、立ち直るまで時間はかかると思うけど、試合まで引きずったらプロじゃない」。そう力強く語った満田は「決勝を2週連続でやれることは滅多にない。ルヴァン杯でタイトルを取って、みんなで喜べるように頑張りたい」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
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