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内野航太郎、諏訪間幸成、本気のマリノスとの対戦を夢見た2人…U-20W杯メンバー落選も力に

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[5.21 天皇杯1回戦 ブリオベッカ浦安3-2筑波大 ゼットエー]

 史上初の大会アンバサダー就任が発表になった日本代表MF三笘薫(ブライトン)の母校・筑波大は、今年は1回戦で姿を消すことになった。

 常に追いかける展開になってしまった。前半22分にFW内野航太郎(1年=横浜FMユース)、後半19分にMF角昂志郎(3年=FC東京U-18)のゴールで2度追いついたが、3度目の勝ち越しを許して力尽きた。小井土正亮監督も「相手をリスペクトし過ぎた。我々がもっとチャレンジャーとして向かって行かなきゃいけないところを出来なかった」と肩を落とした。

 勝てばJ1王者の横浜F・マリノスと対戦できる。選手たちはこれ以上ないモチベーションにしていた。特に内野とDF諏訪間幸成(2年=横浜FMユース)にとっては、高校時代までを過ごした古巣。「組み合わせが分かった時にすぐに2人でLINEしました」(諏訪間)。まずは目の前の一戦に集中することが求められたが、意識するなと言う方が無理だった。

 その夢のピッチに立つことは、あと一歩のところで叶わなかった。大学入学後、ここまで公式戦9戦9発と怪物ルーキーぶりを如何なく発揮している内野も、「本気のマリノスと試合が出来ることをすごく楽しみにして今日の試合に臨んだんですけど、浦安さんが強かった。力不足だったと思います」と完敗を認めた。

 そして2人にはさらに、意識をしていることがあった。アルゼンチンで開幕したU-20W杯。U-20日本代表は明朝6時に行われるセネガル戦で初戦を迎えるが、戦うメンバーは同世代。中でも諏訪間は3月のアジア予選を戦いながらも、本戦でメンバーを外れていた。「自分が入ってやれる自信はあるので、筑波で試合をこなしながら自分の得意なプレーを伸ばしていきたいと、落選してより感じました」。185cmCBは悔しさを押し殺しながらも、力に変える。

 内野は“ライバル”への思いを口にする。昨年度の高円宮杯プレミアリーグEASTで21得点を決めて得点王となった内野だが、同ランキング2位のFW熊田直紀はU-20W杯アジア予選のU20アジアカップで得点王を獲得する大活躍。そのまま本戦のメンバー入りも果たしていた。「得点を取ってほしい?1ミリも思っていません」。冗談めかしに話すが、言葉の節々に本気度も伺わせる。

 今できることをやるだけ。やり切ったところで認めてもらえないのであれば仕方がない。内野も「メンバーが発表された時は分かってはいたけど、すごく悔しかったですし、自分も負けていないことを大学で証明し続けないといけない。盗めるところは盗んで、自分の負けていないところは伸ばしていきたいなと思います」と力を込めた。

(取材・文 児玉幸洋)
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