C大阪から関東1部へレンタル移籍、南葛SCの20歳・FW木下慎之輔は恩師のもとでリスタート「ステップアップを目指していきたい」

FW
[4.26 天皇杯東京都予選準決勝 南葛SC 1-3 明治大 味フィ西]
FW木下慎之輔はセレッソ大阪のトップチームに昇格して3年目の今季、関東サッカーリーグ1部の南葛SCに期限付き移籍している。セレッソ大阪U-18時代の恩師にあたる風間八宏監督と島岡健太コーチのもと、「より怖い選手」になることを誓って再び階段を駆け上がる構えだ。


木下は26日の天皇杯東京都予選準決勝・明治大戦で、後半の開始から「点を取る動きをどんどん出していけ」とピッチに送り込まれた。左ウイングに入ると積極的な仕掛けで何度もゴールに迫って存在感を発揮したが、「仕掛けられてはいたんですけど最後のシュートで結果を出せなかったのは少し悔しいです」。終盤は相手を押し込んだ南葛SCだったが、1-3の敗戦で初の天皇杯出場には届かなかった。
この試合でマッチアップした相手右サイドバックは、世代別代表でチームメイトだったDF稲垣篤志。果敢に仕掛ける木下と構える稲垣が対峙するシーンが連続し、木下は「楽しかったです」と笑みを浮かべて振り返った。取材エリアではちょうど帰り際の稲垣と再会。握手を交わして互いを激励しあっていた。


木下は高校3年時にプレミアリーグWEST得点王に輝き、U-18日本代表のスペイン遠征も経験。翌年のトップチーム昇格を勝ち取った。しかし、ユース活動の終盤に前十字靭帯断裂の大怪我を負った影響でプロ1年目はリハビリから始まることになり、7月にパリSGと行った親善試合でベンチ入りするも出場機会は得られず、9月には右大腿二頭筋腱損傷による手術で再離脱を余儀なくされた。
続く2年目は4月、J3のガイナーレ鳥取に育成型期限付き移籍することが決まった。5月に途中出場で待望のプロデビューを飾ってスタートラインに立ったかに思われたが、以降は6月の1試合のみの出場に終わった。それでも木下は「得られたものも多くありました。(初の移籍で)新しいチームに合わせることだったり、その中で自分の武器を出す部分で手応えもありました」と鳥取での日々が無駄ではなかったことを強調する。
そうして迎えた3年目の舞台は南葛SCとなった。地域リーグではあるものの、C大阪U-18時代のアカデミー技術委員長である風間氏が指揮を執り、当時監督だった島岡氏がコーチを務めるクラブ。木下は早い段階で移籍の話を受けたといい、風間監督の代名詞でもある「止める・蹴る」スタイルへの魅力も感じながら、「気持ちも固まってそこで頑張ろう」と南葛SCで武者修行を行うことを決断した。
鳥取で武器が通用した手応えも踏まえながら試合勘を取り戻しつつ戦う日々の中、出場3試合目となった3月23日の東京都社会人チャンピオンシップ2次戦決勝で、プロ入り後公式戦初得点を含む2ゴールをゲット。今月20日には3節目でリーグ戦初ゴールも記録した。「『止めて蹴る』だったり相手を外す動きだったり、ボールコントロールの技術だけじゃなくてボールがないところでの動きの技術だったりを練習からやっている」と木下。ドリブルや背後への抜け出しを武器とする木下にとって、繋ぐサッカーでゴールに迫る南葛SCとの相性は良いという。
恩師のもとで迎えたプロ3年目のリスタート。木下はJ通算100ゴール以上を記録したFW大前元紀など大先輩のチームメイトから学ぶ点も大きいといい、「自分の成長に繋がる」と充実ぶりを語る。その上でU-18時代からの同期FW北野颯太が2・3月度のJ1月間ヤングプレーヤー賞に選出されるなど、所属元のC大阪で活躍中なところも大きな刺激。木下は「(活躍を)素直には喜べない部分もあるんですけど、負けたくない気持ちをバネにして、リーグは違いますけど自分は自分で向き合って成長していければ」と闘志を燃やす。
「より多くの点数を取ってチームの勝利に貢献し、自分が引っ張っていけるような選手になっていくのが今の目標」。木下はゴールを重ねることで「このチームの昇格もそうですし、個人としてのステップアップを目指していきたい」と力強く意気込んだ。
(取材・文 加藤直岐)
●第105回天皇杯特集
FW木下慎之輔はセレッソ大阪のトップチームに昇格して3年目の今季、関東サッカーリーグ1部の南葛SCに期限付き移籍している。セレッソ大阪U-18時代の恩師にあたる風間八宏監督と島岡健太コーチのもと、「より怖い選手」になることを誓って再び階段を駆け上がる構えだ。


木下は26日の天皇杯東京都予選準決勝・明治大戦で、後半の開始から「点を取る動きをどんどん出していけ」とピッチに送り込まれた。左ウイングに入ると積極的な仕掛けで何度もゴールに迫って存在感を発揮したが、「仕掛けられてはいたんですけど最後のシュートで結果を出せなかったのは少し悔しいです」。終盤は相手を押し込んだ南葛SCだったが、1-3の敗戦で初の天皇杯出場には届かなかった。
この試合でマッチアップした相手右サイドバックは、世代別代表でチームメイトだったDF稲垣篤志。果敢に仕掛ける木下と構える稲垣が対峙するシーンが連続し、木下は「楽しかったです」と笑みを浮かべて振り返った。取材エリアではちょうど帰り際の稲垣と再会。握手を交わして互いを激励しあっていた。


代表活動をともにした戦友とのマッチアップ
木下は高校3年時にプレミアリーグWEST得点王に輝き、U-18日本代表のスペイン遠征も経験。翌年のトップチーム昇格を勝ち取った。しかし、ユース活動の終盤に前十字靭帯断裂の大怪我を負った影響でプロ1年目はリハビリから始まることになり、7月にパリSGと行った親善試合でベンチ入りするも出場機会は得られず、9月には右大腿二頭筋腱損傷による手術で再離脱を余儀なくされた。
続く2年目は4月、J3のガイナーレ鳥取に育成型期限付き移籍することが決まった。5月に途中出場で待望のプロデビューを飾ってスタートラインに立ったかに思われたが、以降は6月の1試合のみの出場に終わった。それでも木下は「得られたものも多くありました。(初の移籍で)新しいチームに合わせることだったり、その中で自分の武器を出す部分で手応えもありました」と鳥取での日々が無駄ではなかったことを強調する。
そうして迎えた3年目の舞台は南葛SCとなった。地域リーグではあるものの、C大阪U-18時代のアカデミー技術委員長である風間氏が指揮を執り、当時監督だった島岡氏がコーチを務めるクラブ。木下は早い段階で移籍の話を受けたといい、風間監督の代名詞でもある「止める・蹴る」スタイルへの魅力も感じながら、「気持ちも固まってそこで頑張ろう」と南葛SCで武者修行を行うことを決断した。
鳥取で武器が通用した手応えも踏まえながら試合勘を取り戻しつつ戦う日々の中、出場3試合目となった3月23日の東京都社会人チャンピオンシップ2次戦決勝で、プロ入り後公式戦初得点を含む2ゴールをゲット。今月20日には3節目でリーグ戦初ゴールも記録した。「『止めて蹴る』だったり相手を外す動きだったり、ボールコントロールの技術だけじゃなくてボールがないところでの動きの技術だったりを練習からやっている」と木下。ドリブルや背後への抜け出しを武器とする木下にとって、繋ぐサッカーでゴールに迫る南葛SCとの相性は良いという。
恩師のもとで迎えたプロ3年目のリスタート。木下はJ通算100ゴール以上を記録したFW大前元紀など大先輩のチームメイトから学ぶ点も大きいといい、「自分の成長に繋がる」と充実ぶりを語る。その上でU-18時代からの同期FW北野颯太が2・3月度のJ1月間ヤングプレーヤー賞に選出されるなど、所属元のC大阪で活躍中なところも大きな刺激。木下は「(活躍を)素直には喜べない部分もあるんですけど、負けたくない気持ちをバネにして、リーグは違いますけど自分は自分で向き合って成長していければ」と闘志を燃やす。
「より多くの点数を取ってチームの勝利に貢献し、自分が引っ張っていけるような選手になっていくのが今の目標」。木下はゴールを重ねることで「このチームの昇格もそうですし、個人としてのステップアップを目指していきたい」と力強く意気込んだ。
(取材・文 加藤直岐)
●第105回天皇杯特集