黒田剛監督が“8度目”の日本一! 国立決勝で予言も采配も的中…中山雄太「やっぱり勝負師だなと」昌子源「疑うことはない」
[11.22 天皇杯決勝 町田 3-1 神戸 国立]
青森山田高で全国高校サッカー選手権優勝3回、高校総体優勝2回、高円宮杯プレミアリーグファイナル制覇2回——。数々の大勝負をモノにし、日本一7度の実績を残してきた高校サッカー界の名将は、天皇杯決勝の舞台でも強かった。
FC町田ゼルビアは22日の天皇杯決勝で、昨季に続く連覇を狙うヴィッセル神戸を3-1で撃破。就任3年目の黒田剛監督はプロキャリア初の決勝戦で、自身初の3大タイトルを獲得した。高校サッカーから続く無類の勝負強さには、経験豊富な選手たちからも賛辞の声が次々と上がった。
黒田監督にとっては高校3冠の偉業を成し遂げた21年度選手権以来の国立決勝。指揮官の“予言”が初の決勝に臨むチームに冷静さをもたらしていた。それは「前半15分までには必ず得点が動く」というもの。試合後、主将のDF昌子源は驚きまじりに試合前のエピソードを明かした。
「まず監督が本当にびっくりするくらいずっと言ってるんですよ。本当に15分。この15分で“絶対に”ゲームが動くと。“絶対”って言うんですよ。それは先制するかもしれないし、取られるかもしれないけど、必ず動くと。それに動揺することなく必ずやること。この15分が試合の残りを決めると言っても過言ではないからと」
試合はまさにその通りに動いた。町田は前半6分、セカンドボールを拾ったMF中山雄太が相手を出し抜くドリブル突破で左サイドを駆け上がると、鋭いクロスからFW藤尾翔太がヘディングシュート。これがふわりと上がってゴールマウスに吸い込まれ、昌子も「それでホンマに動いたんで、喜びというよりも試合中だけどびっくりというのが僕の中であった」と驚くしかない先制点となった。
そこからの町田は終始、したたかだった。神戸にボールを持たせながら試合を運び、ピンチもありながら集中した守備で耐えると、前半32分にはカウンターからFWミッチェル・デュークの個人技で局面を制し、スルーパスからMF相馬勇紀が追加点。黒田監督の就任後、過去無敗を誇る2-0というスコアでハーフタイムを迎えた。
さらにハーフタイムの予言も当たった。町田は後半11分、またもセカンドボールの回収から速攻を仕掛け、藤尾がこの日の2点目を奪って3-0としたが、黒田監督は「後半の始まりも試合が動く」と選手たちに伝えていたという。この言葉について中山は「実際にそういう話になったのでうまくその言葉がハマったし、自分たちもそれがハマったからこそ、全力でそれを信じてプレーできた」とパフォーマンスへの好影響を口にした。
ロッカールームでの指示のみならず、交代策も冴えていた。後半17分に失点した後、まずは前線のテコ入れで2枚替えを敢行したが、さらに同32分に長期離脱明けのDF岡村大八を最終ラインに投入。それ以降はFW大迫勇也、FW武藤嘉紀という強烈なアタッカー陣にほとんど仕事をさせなかった。ボランチ起用でうまくマークを受け渡しながら守っていた中山は「失点するあたりからどうしようかなと思ったけど、ベンチが大八というカードを切ってくれた。采配も当たったので僕としてもだいぶ楽になった」と手放しで称えた。
そうした掴んだ天皇杯制覇のタイトル。高校サッカーでの圧倒的な実績に続き、8回目の日本一に輝いた指揮官の手腕には、日本代表での経験も豊富な中山と昌子も口を揃えて称賛の言葉を送った。
「やっぱり勝負師だなと思いますね。プロじゃないと言っても山田でほぼ地区予選は絶対的に全国出場しないといけない重圧があって、さらに全国に行ってもあれだけ優勝を取っているというところでの経歴。勝負師の力はあらためてすごいなと思いました」(中山)
「もちろん高校サッカーとプロと区切ってしまえば何を言っているんだとなるかもしれないけど、高校サッカーとはいえその舞台をそれ以上に経験している選手はいないので、監督も『お前らプロの前でこの話をするのは申し訳ないけど』という前置きを入れて高校サッカーの話をするけど、一発勝負で無類の強さを監督が発揮している以上、疑うことはないですよね。そうやって勝って黒田剛という名前を売ってきた人だと思うし、選手の中に『高校でしょ』という思いはなかった。そもそもそれだけ決勝を戦っているのはプロアマという区切りを抜きにして、勝負事の世界で決勝戦というものをこれだけ戦っている人はすごいなと思います」(昌子)
なかでも昌子は昨季の加入以降、キャプテンという大役も任されており、黒田監督とタイトルを勝ち取った感慨はひとしおだった。
「メルボルン戦であり得ないオウンゴールをしたけど、キャプテンとしての威厳を失うなと常に言われていた。気にするな、と。このチームはお前がキャプテンだと。何か言えなくなるとか考えなくていい。とにかく威厳を失うな。このチームのキャプテンはお前だと言われていた」
その揺るぎない信頼がタイトルへの後押しとなった。「リーグで僕が一番試合に出ているので、リーグで優勝がなくなったこと、ACL圏内も難しくなってしまった責任はすごく感じていたので、それでも監督が迷うことなく僕を起用し続けているのに応えないといけないという思いは常に持っていた」。そう指揮官の思いを明かした背番号3は「今日は一つ、その形としてカップを監督にも掲げてもらえたのは、僕自身キャプテンやっている以上嬉しいことだった」と喜びに浸った。
(取材・文 竹内達也)
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青森山田高で全国高校サッカー選手権優勝3回、高校総体優勝2回、高円宮杯プレミアリーグファイナル制覇2回——。数々の大勝負をモノにし、日本一7度の実績を残してきた高校サッカー界の名将は、天皇杯決勝の舞台でも強かった。
FC町田ゼルビアは22日の天皇杯決勝で、昨季に続く連覇を狙うヴィッセル神戸を3-1で撃破。就任3年目の黒田剛監督はプロキャリア初の決勝戦で、自身初の3大タイトルを獲得した。高校サッカーから続く無類の勝負強さには、経験豊富な選手たちからも賛辞の声が次々と上がった。
黒田監督にとっては高校3冠の偉業を成し遂げた21年度選手権以来の国立決勝。指揮官の“予言”が初の決勝に臨むチームに冷静さをもたらしていた。それは「前半15分までには必ず得点が動く」というもの。試合後、主将のDF昌子源は驚きまじりに試合前のエピソードを明かした。
「まず監督が本当にびっくりするくらいずっと言ってるんですよ。本当に15分。この15分で“絶対に”ゲームが動くと。“絶対”って言うんですよ。それは先制するかもしれないし、取られるかもしれないけど、必ず動くと。それに動揺することなく必ずやること。この15分が試合の残りを決めると言っても過言ではないからと」
試合はまさにその通りに動いた。町田は前半6分、セカンドボールを拾ったMF中山雄太が相手を出し抜くドリブル突破で左サイドを駆け上がると、鋭いクロスからFW藤尾翔太がヘディングシュート。これがふわりと上がってゴールマウスに吸い込まれ、昌子も「それでホンマに動いたんで、喜びというよりも試合中だけどびっくりというのが僕の中であった」と驚くしかない先制点となった。
そこからの町田は終始、したたかだった。神戸にボールを持たせながら試合を運び、ピンチもありながら集中した守備で耐えると、前半32分にはカウンターからFWミッチェル・デュークの個人技で局面を制し、スルーパスからMF相馬勇紀が追加点。黒田監督の就任後、過去無敗を誇る2-0というスコアでハーフタイムを迎えた。
さらにハーフタイムの予言も当たった。町田は後半11分、またもセカンドボールの回収から速攻を仕掛け、藤尾がこの日の2点目を奪って3-0としたが、黒田監督は「後半の始まりも試合が動く」と選手たちに伝えていたという。この言葉について中山は「実際にそういう話になったのでうまくその言葉がハマったし、自分たちもそれがハマったからこそ、全力でそれを信じてプレーできた」とパフォーマンスへの好影響を口にした。
ロッカールームでの指示のみならず、交代策も冴えていた。後半17分に失点した後、まずは前線のテコ入れで2枚替えを敢行したが、さらに同32分に長期離脱明けのDF岡村大八を最終ラインに投入。それ以降はFW大迫勇也、FW武藤嘉紀という強烈なアタッカー陣にほとんど仕事をさせなかった。ボランチ起用でうまくマークを受け渡しながら守っていた中山は「失点するあたりからどうしようかなと思ったけど、ベンチが大八というカードを切ってくれた。采配も当たったので僕としてもだいぶ楽になった」と手放しで称えた。
そうした掴んだ天皇杯制覇のタイトル。高校サッカーでの圧倒的な実績に続き、8回目の日本一に輝いた指揮官の手腕には、日本代表での経験も豊富な中山と昌子も口を揃えて称賛の言葉を送った。
「やっぱり勝負師だなと思いますね。プロじゃないと言っても山田でほぼ地区予選は絶対的に全国出場しないといけない重圧があって、さらに全国に行ってもあれだけ優勝を取っているというところでの経歴。勝負師の力はあらためてすごいなと思いました」(中山)
「もちろん高校サッカーとプロと区切ってしまえば何を言っているんだとなるかもしれないけど、高校サッカーとはいえその舞台をそれ以上に経験している選手はいないので、監督も『お前らプロの前でこの話をするのは申し訳ないけど』という前置きを入れて高校サッカーの話をするけど、一発勝負で無類の強さを監督が発揮している以上、疑うことはないですよね。そうやって勝って黒田剛という名前を売ってきた人だと思うし、選手の中に『高校でしょ』という思いはなかった。そもそもそれだけ決勝を戦っているのはプロアマという区切りを抜きにして、勝負事の世界で決勝戦というものをこれだけ戦っている人はすごいなと思います」(昌子)
なかでも昌子は昨季の加入以降、キャプテンという大役も任されており、黒田監督とタイトルを勝ち取った感慨はひとしおだった。
「メルボルン戦であり得ないオウンゴールをしたけど、キャプテンとしての威厳を失うなと常に言われていた。気にするな、と。このチームはお前がキャプテンだと。何か言えなくなるとか考えなくていい。とにかく威厳を失うな。このチームのキャプテンはお前だと言われていた」
その揺るぎない信頼がタイトルへの後押しとなった。「リーグで僕が一番試合に出ているので、リーグで優勝がなくなったこと、ACL圏内も難しくなってしまった責任はすごく感じていたので、それでも監督が迷うことなく僕を起用し続けているのに応えないといけないという思いは常に持っていた」。そう指揮官の思いを明かした背番号3は「今日は一つ、その形としてカップを監督にも掲げてもらえたのは、僕自身キャプテンやっている以上嬉しいことだった」と喜びに浸った。
(取材・文 竹内達也)
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