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「どんどんやってみろ」、eスポーツに理解示す父が背中を押す…青森県が茨城国体ウイイレ「少年の部」の頂点に

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「少年の部」で優勝した青森県

 第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」(茨城国体)の文化プログラムとして行われる「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」が5、6日に開催された。「eFootball ウイニングイレブン 2020」(ウイイレ2020)部門「少年の部」(高校生)の決勝では青森県が長崎県を3-2で破り、初代王者に輝いた。

 各チーム3~5人で構成され、3人協力プレーのCO-OPモードで戦う今大会。春先から全国47都道府県で予選を行い、48チーム(開催県の茨城県のみ2チーム)が茨城国体への出場権を手にした。5日のグループリーグから6日には決勝トーナメントを開催。長い戦いを経て勝ち残った2チームは、青森県と長崎県となった。

 試合は青森県が1-0で前半を折り返すと、後半15分に追加点を奪って2-0とする。しかし決勝まで激戦を勝ち抜いてきた長崎県も反撃。同27分に1点を返し、1点差に止め寄る。だが青森県は40分に勝ち越し弾を挙げて3-1とすると、終了間際に失点するもそのまま試合終了。青森県が3-2で頂点に到達した。

強さの要因は仲の良さと語る

チームを率いた貴田英貢也(左)

 青森明の星高校のサッカー部5人(2年生2名、3年生3名)で構成された青森県。キャプテンの貴田英貢也(高2)は「決勝トーナメントから強い県がいっぱい来ていて、すごく厳しい戦いだった。だけどみんなで声をかけあって優勝できたと思います」と大会を振り返る。貴田自身はプレー経験があったものの、チームのほとんどがほぼ未経験。チーム結成から少しずつ成長を続け、「みんな個を消してチームで戦う」コンセプトで栄えある初代王者となった。

 チーム結成のきっかけとなり、キャプテンとしてチームを牽引した貴田英貢也。父・竜さんは会場で子どもたちの雄姿を見守っていた。日本一について「なくはないのかなと思っていたけど、ただ勝負事はわからない。流れを掴めるかハラハラしました」と語り、子どもたちの活躍に目を細める。もともとゲームについて理解を示していたが、ひたすら家でゲームをしていた息子に対して注意もしていた。だがある日、オンラインでの大会に参加していた息子の好成績を聞いた父は「だったらそっちを伸ばせばいい」と考えを改め、「どんどんやってみろ」と背中を押し始めた。

 国体参加も父・竜さんの勧め。「たまたま国体のeスポーツの分野があるって知って。自分でメンバーを集めて出場してみればって言いました」と出場を促した。eスポーツは世間での言葉の認知度は上がるも、「スポーツ」という括りにいまだ懐疑的な声も多い。しかし竜さんは新たな文化にも理解を示す。「(息子たちは)学校でもサッカー部に入っていて、ゲームでもサッカーをやっている。でも人のつながりとか勝ち負けとか、そういう経験はどちらにもたくさんあることがわかりました。フィールドかゲームかではない。今日も観ていて、観客がこんなに盛り上がるほどの要素を持っていると驚きました。とてもポテンシャルがあるものなのだと思います」。理解ある大人たちが背中を押し、少しずつ新たなスポーツが文化として根付こうとしている。

初代王者に輝いた

(取材・文 石川祐介)
●茨城国体 全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019ウイニングイレブン(ウイイレ)部門

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