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鳥栖代表まさちゅう&SRがウイイレ最強コンビに! 日本代表として東アジア大会へ

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まさちゅう(左)とSRが日本代表として東アジアeスポーツチャンピオンシップに出場する

 日本eスポーツ連合(JeSU)が主催する「JAPAN eSPORTS GRAND PRIX」が26日にサッカーゲーム「eFootballウイニングイレブン2021 SEASON UPDATE」の決勝大会を行った。プロゲーミングチームとJクラブチームの合計14チームの頂点に輝いたのは、サガン鳥栖代表のSRとまさちゅうのコンビ。2選手は日中韓eスポーツ国際競技会「東アジアeスポーツチャンピオンシップ」に日本代表として出場することになる。

 賞金総額500万円と国際eスポーツ大会への日本代表出場権を懸けた戦いは、24日の予選大会からスタート。プロゲーミングチームは8チームで、SUSANOO GAMING8(GENKIモリタ/ちゃま)、ゲキサカFC(ARATA/Mayageka)、Relaxedly(moiguru/カーリー)、KYANOS(パリカ/かつぴーや)、DetonatioN Gaming(レバ/やま)、ELEMENT.36 JAPAN(まなとー/wayakazu)、ヴェルディeスポーツ(YUKI/らんこむ)、MVP(murasaki/てす)が出場した。

 一方、今回の企画に賛同したJリーグクラブも6クラブが参加。川崎フロンターレ(バビンブー/Dank1)、横浜F・マリノス(Karaage/あおい)、鳥栖(SR/まさちゅう)、大宮アルディージャ(まーさん/いしみつ)、水戸ホーリーホック(nomo/ウラえもん)、東京ヴェルディ(エビプール/Takaki)がeスポーツの舞台で頂点を目指した。

 試合は2on2方式で行われ、24日の予選は4つのグループに分かれて実施した。グループAでは、ヴェルディeスポーツがSUSANOO GAMING8を、ゲキサカFCがDetonatioN Gamingを破り、決勝で激突。ヴェルディeスポーツが2-1でゲキサカFCに勝利し、26日の決勝大会へ駒を進めた。また、グループBはELEMENT.36 JAPANが予選を突破している。

 Jリーグクラブ勢のグループCは鳥栖が、同様にグループDは川崎Fが、それぞれ決勝大会への進出を決めた。

 26日の決勝大会では、準決勝でプロゲーミングチーム同士とJリーグクラブ同士が対戦。ヴェルディのeスポーツ部門としてプロゲーミングチームで参加したヴェルディeスポーツがELEMENT.36 JAPANを破り、決勝に進出。Jリーグ勢は、鳥栖が1-0で川崎Fを破って準決勝を突破。決勝はヴェルディeスポーツと鳥栖の勝負になった。

 ヴェルディeスポーツは、所属選手である実力派コンビのYUKIとらんこむがバイエルンを使用。一方、鳥栖は国際大会の経験も豊富なまさちゅうと、セレクションで優勝を成し遂げたSRのいわば急造コンビ。使用チームはユベントス。まさちゅうが冷静に声をかけつつ、SRが持ち前の個人スキルを発揮した。

 鳥栖の作戦は、まずFWクリスティアーノ・ロナウドにボールを集めること。前半19分、まさちゅうが操るFWゴンサロ・イグアインはPA手前から左横のC・ロナウドにパスを出す。SRが操るC・ロナウドは右足ダイレクトで狙うと見せかけ、キックフェイントで守備陣を揺さぶると、最後は左足シュートでゴール左隅に突き刺した。

 だが、ヴェルディeスポーツは慌てない。前半終了間際、MFチアゴ・アルカンタラがポストに当てた跳ね返りを冷静に押し込み、1-1と試合を振り出しに戻した。

 次に試合が動いたのは後半18分。鳥栖はまさちゅうが左サイドからPA左に進入し、ルーレットで相手選手をかわして守備陣を翻弄する。注意を引きつけ、ボールはそのままゴール前に流れたところを、再びSRがゴールに押し込んで勝ち越しに成功した。

 鳥栖が2-1の点差を守り切り、そのまま終了。まさちゅうとSRのコンビが大会の頂点に輝き、「東アジアeスポーツチャンピオンシップ」に出場する日本代表に決定した。



 大会経験も豊富なまさちゅうは試合終了直後に喜びを爆発。インタビューでは「落ち着いていた結果。楽しんでいたなと自分では思っています」と大会を振り返る余裕を見せた。試合中は常に冷静を保ちつつSRを鼓舞。また、2点目のアシストとなった華麗なルーレットも「落ち着いてプレーに入れたことでできた」と持ち前の実力をしっかり発揮した結果になった。

 一方、まさちゅうも「魅力は落ち着いているところ。プレーはすごい」と絶賛するSRだが、優勝決定後は快挙に信じられない様子。「正直言ってしまうとここまで行けるとは思っていなかった。こういうの初めてなので、どうすればいいかわからない」と少しずつ優勝の実感を味わっていた。自身も夢にも思わなかった日本代表に「重みはまだわからないですけど…」と語りつつも、「日本代表になるからには優勝してきます」と力強く活躍を誓った。

■認知度上昇のeスポーツ…Jリーグクラブも模索中
 世界中で浸透しているeスポーツは、コロナ禍でその認知度がより一層上がった。Jリーグクラブでも、eスポーツ部門を設立して所属選手を抱えるクラブもあれば、不定期に行われる大会ごとにeスポーツプレーヤーを募って参加するなど、各クラブが手探りで新たな分野の開拓を進めている。

 今大会で声がかかったJリーグクラブは6クラブ。川崎Fは2019年に「KAWASAKI GAME SHOW」というイベントを開催しており、ウイニングイレブンのブースも出展していた。その縁があり、今回の参加に至ったという。

 今大会に訪れていた川崎F営業部の田中和也氏は「正直、僕らもどういったことができるかを探り探りやっているところ」とJクラブとeスポーツの現状を明かす。「eスポーツの広がりは感じているので、このような大会に参加させていただいて、どういった反応があるのかを見ています。相応の反応はあるので、何か一緒にできたらいいとは思っていますね」とeスポーツの可能性は感じつつ、その展開の仕方は模索中だ。

 横浜FMはeスポーツ部門を設立しており、現在は「シャドウバース」のチームを抱える。設立から2年が経ち、横浜FM経営企画部の武田裕迪氏は「2年間にしてはかなりよくやっているほうではないかな」と手応えを明かす。プロリーグがある「シャドウバース」のチームにはスポンサーも付いており、「ひとつの手応えとして、収益上は恥ずかしくないような事業になってきている」と語る。

 しかし、一方で難しさも。「慢性的な課題ですけど、サッカークラブのファンが高齢化して、若いファンを取り込んでいかなきゃいけない。新規の若者に興味を持ってもらうひとつの手立てとしてeスポーツに参戦しましたが、そして若者のファンが増えましたっていう単純な話にならないっていうのは、やってみてわかりました」と課題も見え始めているという。

 あくまで「サッカーに限らず、スポーツで地域を元気にしていく。ファンに喜んでいただく」ことで、「横浜FMのファンが増える、興味を持ってくれる」ことがクラブの目標となる。そのためには「色んな形があっていいと思うんです」と武田氏は語る。現状は「シャドウバース」のチームのみ。「ウイニングイレブン」や「FIFA」といったeフットボールのジャンルの本格的な参戦については「欲を言えばプロリーグとかがあれば、いの一番に出たい」と意欲を見せていた。
(取材・文 石川祐介)
●JAPAN eSPORTS GRAND PRIX特集

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