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“世界的にも異例”のeサッカー大会があす開催!! 主催者・復興庁が「あえてチャレンジングなミッション」に挑む理由

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 復興庁は3日、福島県双葉郡のJヴィレッジで『復興大臣杯 e復興サッカー選手権』を開催する。予選を勝ち抜いた3チームに加えて、地元/被災地枠、e日本代表と豪華ゲストがタッグを組む「サッカーe日本代表フレンズ」など多様なバックグラウンドのチームが参加。主催者によると、11vs11のゲームモードのオフライン大会は「世界的にも異例の試み」だという。

 大会は人気サッカーゲームシリーズの最新作『FIFA 23』を使用。一般的なeスポーツの大会では各プレイヤーがピッチ上の11選手全員を操作する「1vs1」が主流だが、今回は各プレイヤーが一人の選手を操作する「11vs11」(FIFA内では『プロクラブ』という名で呼ばれる)のゲームモードで行われる。

 一人のプレイヤーが全選手を操作する「1vs1」と比較し、一人のプレイヤーが一人の選手を操作する「11vs11」は、初心者にもとっつきやすい。また一人の操作に集中できるため、ポジショニングの自由度も高まり、奥が深いモードだ。

 しかしその一方で「1vs1」はインターネット接続のない筐体1台で完結するのに対し、「11vs11」は筐体22台をインターネット接続する必要があるため、大会を実現させるための難易度はグンと上がる。そうした事情から、ただでさえ入手が難しいプレーステーション5での「11vs11」によるオフライン大会(プレイヤーが一会場に集まって行う大会)は、世界を見渡してもほとんど例がない。

 それでも今回、復興庁はあえて「11vs11」のモードで大会を開くことに決めた。“被災地復興”という困難なミッションに立ち向かう姿勢を、eスポーツを通じて示したかったからだ。大会を発案した復興庁参事官の渡邊貴和氏はゲキサカの取材に対し、次のように語ってくれた。

「チャレンジングな話だというのはわかっていましたが、復興というものを考えたとき、街が一度全部消えてしまった中で、新しくかつての街、あるいはそれ以上の街をつくるというのはすごく困難なことですよね。だからこそ、チャレンジングなミッションを、あえて復興庁が挑戦してみることに意味があると考えてきました」

 またeスポーツという枠組みで「11vs11」で戦うことにも、大きな意味があった。

「ただ何かを展示するだけ、ただ動画を流すだけだと関心を持ってもらえない。それよりもより楽しいこと。地元にとっても気持ちが盛り上がるようなイベントとリンクさせることで、いまは復興に関心がない方にも、楽しみながら今の被災地を知ってもらえるような機会を作れたらと思っていました。そこで近年盛り上がりが高まってきていて、若年層にも裾野が広がっているeスポーツを選びました。また、いまのeスポーツだと1対1の対戦が多いんですが、そうではなく、仲間と楽しむとか、喜びを共有できるようなコンテンツが良いと考えました」

「そこで復興と関係の深いものを考えたときに、やはりJヴィレッジの存在が非常に大き買ったんです。広くサッカーファンにも知られているサッカーの聖地であるとともに、被災後に復興の拠点として機能していた復興のシンボルでもあるJヴィレッジが頭の中で結びついて、Jヴィレッジでサッカーの試合を開くと化学反応が起きるのではないかと考えました。そしてやるのであれば1対1ではなく、11対11で対面の形式でやりたい、なるべくリアルのサッカーに近づけたいという思いでこの大会にしようと決めました」

 10月中旬には予選大会を東京都内のJFAハウスで開催。4チームが本大会行きをかけて争った。大会実現に向けては通信環境を大幅に増強し、22台のプレーステーション5と最新鋭モニターを完備。回線や試合マッチングなどで「いろんな懸念はあった」というが、大会運営に支障をきたすようなトラブルは一度もなく、無事に本戦進出2チームが決定した。

「ハード面もソフト面も最高の環境を整えたことが大きかった。臆することなく挑戦した結果がこの大会につながった」と手応えを語った渡邊氏。また何より大きな収穫は、オフライン大会(プレイヤーが一会場に集まって行う大会)特有の会場の雰囲気だったという。

「チーム同士の喜び合い、声の掛け合い、一体感がすごく伝わってきましたし、皆さんが楽しまれている様子がすごく伝わってきました」。今度はそうした盛り上がりが復興の象徴・Jヴィレッジに広がることになる。渡邊氏は「今度は地元の方も加わるので、Jヴィレッジの大会を通じて気持ちが盛り上がるような機会になればいいなと思っております」と力を込めた。

 配信は復興庁の公式Youtubeチャンネルで行われる。

(取材・文 竹内達也)


▼予選大会の写真特集

e復興サッカー選手権


参加チームのキャプテン


JFAハウスのバーチャルスタジアムで開かれた


プレーステーション5を11台という圧巻の環境


西岡明彦アナウンサーとプロeスポーツ選手のyouxmeさんが放送席に


世界的にも異例のオフライン大会


リアル会場特有の盛り上がり


得点時にハイタッチ


ゲキサカチームも参加


3戦全敗に終わった


勝利チームはJヴィレッジでの決勝大会へ

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