beacon

EURO2020判定データ公開…ファウル減少もPK倍増、“救命処置”導いたテイラー主審に称賛

このエントリーをはてなブックマークに追加

 欧州サッカー連盟(UEFA)が欧州選手権(EURO2020)グループリーグにおけるレフェリングを総括した。ロベルト・ロセッティ審判委員長は25日の発表で「EUROで見られたレフェリング基準は非常に好ましいものとなっている」とし、36試合を担当した審判団に感謝を述べた。

 前回大会に比べて、今大会ではファウルが911回から806回、イエローカードが129枚から98枚に減少していたという。ロセッティ氏は「ホイッスルを吹く回数を減らしたいわけではなく、われわれの役割は正しい決定をすること」としつつ、「ファウルが少なくなったのは喜ばしいこと」と説明。さらに「ファウル、イエローカードが少ないのは選手の行動が優れていたからだ」と選手たちの振る舞いをたたえた。

 またロセッティ氏はEURO本大会では初めて導入されたVAR(ビデオアシスタントレフェリー)についても言及。「レフェリーが正しい判定を下すのを助けるため重要な役割を果たしている。数字にも彼らの計り知れない貢献度が表れている」と賞賛を送った。

 UEFAが公開したデータによると、EUROグループリーグ36試合では179件の事象にVARのチェックが入り、そのうち91.6%が正しい判定だった。一方、誤りがあった12事象でVARが介入し、7度のVARオンリーレビュー、5度のオンフィールドレビューで判定が覆った。介入頻度はちょうど、かねてより国際基準とされている「3試合に1度」だった。

 VARが最も真価を発揮するオフサイドのシーンでは「タイトな事例」が21回あったという。そのうち、ピッチ上で誤った判断がなされた6回ではVARが介入。結果として誤審が見過ごされたケースは一度もなかった。ロセッティ氏は「オフサイドはわれわれにとって、もはや問題とされていないかもしれない」と手応えを口にした。

 加えて今大会では、試合中のペナルティキックが2016年大会の7回から14回に大きく増加している。そのうちVARの介入によって与えられたPKは5回。ロセッティ氏は「この増加の主な要因の一つがVARの導入だった。VARのおかげでペナルティエリア内でのファウルを正確に検知できるようになった」とVARの寄与があったという見解を述べた。

 さらにロセッティ氏はグループリーグ第1節のデンマーク対フィンランド戦で起きたMFクリスティアン・エリクセンのアクシデントに対応したアンソニー・テイラー主審を称賛。「この困難な瞬間を完璧にマネジメントしたことを誰もが認識していると思う」とした上で「われわれは彼の行動と落ち着きを誇りに思う。レフェリーはこの状況に注意を払い、常に安全を最優先とすることが勧められる。アンソニーは素晴らしかった」と振り返った。

●EURO2020特集

TOP